『旅のたまゆら』
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『旅のたまゆら1981-1988』寺下雅一著
[レビュアー] 産経新聞社
北海道の羽幌線や福島県の日中線、新潟県の赤谷線…。ローカル線が次々に廃止された昭和の終わりに、地方の沿線風景をモノクロで収めた写真集だ。子供や若者の姿も見られる。1両で運行される列車が多い中、日本海沿岸の過疎地を走っていた羽幌線の列車が4両編成なのは感慨深い。
いずれも著者が18~26歳のときに撮影したもの。「他人に見せるようなものではない」と思っていた写真を平成23年にブログで公開したところ、アクセスが増え続けたという。「高速道路や新幹線の傍らで荒廃していく、国土と地方社会をどう処するのか」と問いかけている。(現代書館・4950円)