『大東亜戦争秘録――掻き消された市井の人たちの生きざま、死にざま』
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『大東亜戦争秘録』早坂隆著
[レビュアー] 産経新聞社
先の大戦の知られざる10のエピソードを当事者らに取材し、掘り起こしたノンフィクション。例えば「樺太看護婦集団自決事件」だ。
日本の領土だった南樺太では8月15日以降もソ連軍との地上戦が続き、電話交換業務を続けた女性たちの集団自決が知られているが、実は看護婦の集団自決もあった。著者は生存者の証言のほか、自決の背景として「彼女たちの脳裡には(ロシア極東で日本の守備隊や居留民が虐殺された)尼港(にこう)事件があった」とソ連軍への恐怖心を指摘する関係者の声も紹介する。
平成25年刊行の単行本が版元を変え改訂の上で再刊。鎮魂の季節に読みたい。(育鵬社・2200円)