『安西水丸が遺した最後の抒情漫画集 陽だまり』安西水丸著

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『安西水丸が遺した最後の抒情漫画集 陽だまり』安西水丸著

[レビュアー] 産経新聞社

個性的な筆でイラストレーション界を(けんいん)し、平成26年に亡くなった安西水丸。晩年に小説誌に連載していた読み切り漫画4本のほか、親交のあった表現者6人の書き下ろしエッセーを収める。

ボクシングで挫折した男性と訳ありな女性との交流を追った「陽だまり」、雪深い北国のペンションを訪れた姉妹を描く「冬の客」…。シンプルな絵から立ち上がるのは、エロチックで情感豊かな世界。作家の村上春樹は収録されたエッセーの中で「どことなくすっとぼけた、しかし洒脱な味わい」にひかれたと回想している。異才の魅力を再発見できる。(講談社ビーシー・1980円)

産経新聞
2023年9月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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