『関東軍――満洲支配への独走と崩壊』
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【気になる!】新書『関東軍』及川琢英著
[レビュアー] 産経新聞社
暴走、独走の代名詞ともされる関東軍。日露戦争後、ロシアから日本に譲渡された鉄道などの満州権益を守るために置かれた守備隊を前身とする出先の軍が、なぜ中央の統制を外れて独断で対外武力行使に踏み切る組織になったのか。最新の研究を踏まえ、誕生から崩壊までを描き出す。
まず天皇直隷(ちょくれい=直接の指揮下)の関東軍にとって、陸軍中央から受けるのは「命令」ではなく「指示」だという制度上の問題があった。流動的な満州情勢の中、現地勢力への支援などでたびたび独断専行が生じていく。構造的要因と人物の個性の双方から、「暴走」の過程を分析する。(中公新書・1012円)