「心理的安全性」は誰でもつくれる!働きやすさがずっと続くチームに欠かせないものは?

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わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70

『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』

著者
塩見 康史 [著]/なかむら アサミ [著]
出版社
翔泳社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784798180618
発売日
2023/08/31
価格
1,848円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「心理的安全性」は誰でもつくれる!働きやすさがずっと続くチームに欠かせないものは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「心理的安全性」は、企業やチームにとっての重要なポイント。しかし、その問題に関する書籍の大半は、上司や管理職に向けられたものが中心でもあります。しかし本来であればそれは、上司と部下の双方向でつくっていくべきものであるはず。

そこで『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』(塩見康史、なかむらアサミ 著、翔泳社)では、上司のみならず部下の立場でもできることを書いているのだそうです。

ちなみに著者は、心理的安全性が高い職場やチームのことを「あんぜんチーム」と呼んでいます。その理由は以下のとおり。

外部環境の変化が激しく、世代を超えて同じ経験や価値観を共有することは相当難しくなってきています。そうした中で「チーム」となり成果を出すこと、自分たちの目指すものを実現するために一番必要なことが、言いにくいことを言い合える心理的安全性のある関係性、あんぜんチームをつくることです。(「はじめに」より)

上述したとおり、重要なポイントは、上司か部下のどちらか一方だけががんばるのではなく、同じチームの一員としてお互いに理解し合うこと。そこから、著者のいう「あんぜんチーム」は始まるわけです。

やりがいのある、前向きにチャレンジできる、失敗から学びを議論しさらにチャレンジする組織にするために必要なものが心理的安全性のある関係性――あんぜんチームです。この本を手に取ったあなたの行動が、その実現につながります。(「はじめに」より)

「あんぜんチーム」をつくり、維持していくための小さなアクション70種が紹介されている本書の第2章「ひとりではじめる心理的安全性」のなかから、いくつかのトピックスを抜き出してみましょう。

まずはあいさつをしっかりする

いうまでもなく、あいさつはコミュニケーションの基本。著者も、まずはそこをしっかり実行することからはじめるべきだと述べています。

あいさつは、自分と相手の存在を認める行為です。首脳会談など、国を代表する人たちが集まるところでよくTVに映し出される場面は、たいていあいさつしている場面です。(中略)「両者があいさつした」という事実はそれほど大きなことだということなのです。

「お互いを認め合っています。これから意味のある時間を過ごしましょう」というメッセージがあいさつには含まれていると考えると、単純な行動ですがとても大切な行動だとわかります。(56〜57ページより)

とくにリモートワーク中心の組織である場合は、その会議の前も他の会議に参加していたというようなケースも少なくないもの。そのため、冒頭からいきなり議題に入ったりすると参加者のストレスや疲れを増やすことになりがちです。

そこで重要なのが、あいさつを経て雑談しながらメンバーを待ったりするなど、本題の前に柔らかい雰囲気をつくりだすこと。すなわちそれが、会議参加や意見・発言のハードルを下げることにつながるわけです。

また、私たちは声色やしぐさによって相手の状況を判断するものでもあります。相手がいまどんな状態なのか、あいさつの様子から判断することも可能なのです。

あんぜんチームのつくりかたの最初は「あいさつ」から。何も無理やり元気な声を出す必要はありません。あいさつを機に「今日は疲れていて……」と自分の状態や気持ちを共有するのもよいですね。(56〜57ページより)

あいさつを、お互いについて知り合う時間として活用する。そこに大切な意味があるのでしょう。(56ページより)

笑顔で安心感を生む

そして、あいさつと同様に大切なものとして著者は「笑顔」を挙げています。

あいさつは「お互いの存在を認める行為」、笑顔は「あなたに敵意はありませんよ」と友好的イメージを相手に与える行為です。あいさつと笑顔はセットになりやすいものです。不安や警戒心を持たれていると相手とコミュニケーションしにくいのは当然のこと。笑顔を見せることで「よい方向に持っていきましょうよ」という意思表示にもつながります。(58ページより)

活気のある場に入れば、おのずと快活な気持ちになるはず。だからこそ、笑顔でいることはその場にいる人のモチベーションアップにもつながるわけです。著者のことばを借りるなら、「笑顔あるところからあんぜんチームがはじまる」ということ。(58ページより)

メンバーと毎週15分雑談する

リアルかオンラインかにかかわらず、職場で仲間と雑談できる環境は必要。同僚と他愛のない話をするのは、心身の健康のためにも必要であるわけです。つまり雑談は仕事の一環なので、業務時間に行うべきだと著者は主張しています。

そうでなくとも、コミュニケーション不足の悩みが増えている現在は、マネージャーとメンバーの両方がコミュニケーションに悩んでいるもの。そういう意味でも、ひとりひとりと話をする時間をあえてつくることは、誰もが行うべき「業務」であるわけです。

そこで著者は、「コミュニケーション量を増やす」しくみをつくっていくことを勧めています。とはいっても、それは決して難しいことではないようです。

マネージャーの方は、15分、30分で十分なので、1人ひとりと話す時間を業務時間内に定期的につくりましょう。メンバーの方は、同僚と話す時間をつくってみるのはいかがでしょうか。コーヒーを飲みながら、お菓子を食べながらでも大丈夫です。むしろそれは大歓迎なよいアイデアです!(69ページより)

それくらいの軽い気持ちから、悩みや本音を話せるチームづくりははじまるということです。つまり、長時間になりすぎない程度にコミュニケーションをとることは“必要な仕事”なのでしょう。(68ページより)

本書で紹介されているような小さなアクションを積み重ねることで、良好な関係性を築くための自分なりのノウハウを得ることができるだろうと著者は述べています。

それは自身のスキルとなり、どんな組織でも活用できるポータブルスキルになるとも。チームの雰囲気や生産性を高めるために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: 翔泳社

メディアジーン lifehacker
2023年9月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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