時間のつかい方が変わる!やりたくないことも楽しくやれるようになる「発想の転換」

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド

『「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド』

著者
キャシー・ホームズ [著]/松丸 さとみ [訳]
出版社
翔泳社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784798180694
発売日
2023/10/06
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

時間のつかい方が変わる!やりたくないことも楽しくやれるようになる「発想の転換」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド』(キャシー・ホームズ 著、松丸さとみ 訳、翔泳社)の著者は、「時間のつかい方と幸福度の関係性」を専門とするUCLAアンダーソン経営大学院教授。

そのため、いかにも時間を有効に使っていそうだなと思われるかもしれません。ところが以前はやることが満載で、公私ともにバタバタだったのだといいます。

記憶にある限り私はずっと、時間と闘っているように感じてきました。そしてこう感じるのは、私だけではありません。私たちは、生産性を重視する文化に生きています。そのせいで、忙しさが人の価値を表すステータス・シンボルになってしまいました。

しかし、このように常に追い立てられた状態は、ステータスのようによい気分になどしてくれないことを、私は個人の経験からも自分の研究からもわかっていました。(12ページより)

だからこそ、もっと時間が必要だと感じたのだそう。ただし、欲しかったのはより多くをこなすための時間ではなく、速度を落とし、自分が過ごす時間を実際に味わうための時間。したがって、そういう時間のない自分は“時間貧乏”だったのだと認めているのです。ちなみに時間貧乏とは、やるべきことややりたいことを、すべてこなすだけの時間がない感覚。そして実際のところ、時間貧乏で悩む人は決して少なくないようです。

全米規模の世論調査では、アメリカ人の半数近くが、やりたいことをすべてこなす時間がないと報告しています。別の調査でもまた、約半数のアメリカ人が、時間的余裕を感じたことはほぼないと答えており、3分の2の人は、いつもあるいはときどき気ぜわしく感じると答えています。(16ページより)

もちろんそれはアメリカ人に限った話ではなく、私たちにもあてはまることであるはず。きょうは第4章「やりたくないことを楽しくやるーーやる気を高める方法」のなかから、仕事に関する考え方を抜き出してみましょう。

嫌な仕事だって楽しくなる

一般的に、仕事をしながら過ごす時間は、1日のうちでもっとも幸せでない時間に含まれるもの。事実、アメリカの労働者のうち、仕事に満足しているのはわずか半数であり、仕事に夢中になるという人は3分の1しかいないのだそうです。多くは仕事が嫌で、就業中は時計をにらみながら帰宅時間を心待ちにしているということ。

しかし、目覚めている時間の半分以上を仕事に費やす以上、それでは人生の大半を耐え忍んで過ごすことになってしまいます。しかも研究によれば、仕事に対する満足度は仕事以外の時間にも影響し、人生全体の満足度を左右する決定要因となることがわかっているのだとか。

だとすれば、こうした時間をもっとよい時間にすることはとても重要。しかしそのためにはどうすればいいのでしょうか? この問いに対する答えとして、著者はキャンディス・ビラップスという女性の話を引き合いに出しています。彼女は仕事について研究者に聞かれたとき、こう答えたというのです。

私は患者さんのことが大好きなんです。病気の人たちが大好き。私には、病気の人にしてあげられることがたくさんあります。なぜなら私自身、気分がすぐれないときや手術を受けなければならなかったとき、仕事があったからこそ乗り切れたからです。

冗談を言って、楽しく、元気に、前向きに過ごす。この職場にいて一番楽しいと思うのはそこです。ここは、すごく活気があります。実は私、ここを「希望の館」だと思っているくらいです。(119ページより)

キャンディスの仕事は、がんセンターの清掃員。「希望の館」や「活気がある」職場だと表現してはいるものの、体調を崩している患者さんや、心配や不安を抱えているであろう家族の人たちに囲まれて仕事をしているわけです。しかも、近くで働いている医師のように立派な肩書きはなし。現実的にはやりたくないことも少なくないでしょうし、決してポジティブな仕事ではないのです。(118ページより)

仕事に恩恵を見出せば恩恵を受けられる

ところがキャンディスはなぜか、仕事の時間を満喫しています。たいていの人は1年も持たずに辞めてしまうこの仕事を10年以上続け、心から楽しんでいるのです。理由は、自分がなぜこの仕事をしているか、わかっているからです。「患者さんの日々を明るくすることで人の力になる」という目的です。(120ページより)

キャンディスが仕事のなかに見つけたこの目的は、正式な職務内容を大きく超越したものだともいえるでしょう。病院の床をきれいに保つだけではなく、患者や家族の人たちと冗談を飛ばし合い、居心地のよい空間をつくることによって病院の空間を輝かせているのですから。

彼女のユーモア、温かさ、前向きな性格のおかげで、病院が明るくなります。仕事に見出した最終的なゴールは、キャンディス自身の価値観や長所と一致しているのです。(120ページより)

これはいささか極端な例であり、キャンディスが徳の高い人であるのも事実でしょう。とはいえ、仕事に恩恵を見出すことによって恩恵を受けられるというのは、誰にも広く当てはまるものでもあるはず。(120ページより)

価値観、強み、情熱を一致させる

たとえ完璧な仕事に就いていなかったとしても(そもそも、完璧な仕事などないともいえます)、自分の価値観(自分にとって大切なこと)、強み(得意なこと)、情熱(好きなこと)と仕事を一致させればいいのです。

そうすればモチベーションが上がり、仕事がうまくこなせるようになり、さらには仕事や人生全般に満足度が上がるはずだから。著者によれば、そうしたことを裏づける証拠は増え続けているのだそうです。

自分にとって大切だと思える明確な目的があり、得意でもある仕事を持つのが理想的です。とはいえ、必ずしも理想通りとは限りません。キャンディスのエピソードがなぜとりわけ役に立つかというと、仕事の種類にかかわらず、自分がなぜその仕事をしているのかを自覚し、そこに意識を向けることで、日々の仕事をもっと楽しめるようになることを、このエピソードが物語っているからです。(121ページより)

さらに「仕事の目的」がわかれば、就業日の予定を組みなおしたり微調整したりして、仕事時間をもっと楽しいものにできるかもしれないと著者は述べています。つまりは、仕事に対する姿勢こそが大きな意味を持つということなのでしょう。(120ページより)

ここでご紹介したこと以外にも、充実した時間のつかい方を広い視野で捉えているところが本書のポイント。ピンときた考え方を取り入れてみれば、日常がよりよいものになるかもしれません。

Source: 翔泳社

メディアジーン lifehacker
2023年10月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク