「言語化力」アップに効果的な3つのこと〜会話、読書…もうひとつは?

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「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全

『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』

著者
山口 拓朗 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784478119266
発売日
2023/11/16
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「言語化力」アップに効果的な3つのこと〜会話、読書…もうひとつは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

どれだけ素晴らしい考えや発想が頭のなかに浮かんでも、それを言語化し、相手にきちんと伝えることができなければ意味がありません。それどころか、「言語化できない人は、なにも考えていない人と同じ」なのだと主張するのは『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(山口拓朗 著、ダイヤモンド社)の著者。

では、なぜ言語化力は伸びないのでしょうか? 著者によればそれは、単に「言語化する方法」を知らないから。逆にいえば、正しい手順さえ踏めば、「うまく言葉にできない」を「うまく言葉にできる」に変えることができるようになるということ。本書は、それを実現するために書かれたわけです。

具体的には、以下の「3つのSTEP」さえ踏めば、「言語化力」は誰にでも必ず高められるのだとか。

STEP1:「語彙力」を伸ばす

STEP2:「具体化力」を鍛える

STEP3:「伝達力」を磨く

(「はじめに」より)

きょうは「CHAPTER 1「『語彙力』を伸ばすー「使える言葉」を増やす方法ー」内の、「多忙なビジネスパーソンに最適な、超実践的な語彙力アップの方法」に焦点を当ててみたいと思いますが、その前にひとつ。大人が仕事で役立つ言葉を獲得するためには、次の3つの要素を意識する必要があるというのです。

1つ目は、新しい言葉に「出会う」こと。そのための機会を増やします。

2つ目は、知らない言葉を「調べる」こと

意味がわかっていない言葉を使うことはできません。そして3つ目は、脳に定着させて「覚える」こと。(「はじめに」より)

この3つを意識することで、使える言葉のストックがどんどん増えていくというのです。ここでは、「言葉に出会う方法」を確認してみることにしましょう。

【言葉に出会う(1)】会話をする

在宅ワークやオンラインミーティングが普及したこともあり、私たちは「意識しないとどんどん言葉を失っていく環境」に置かれています。そんな状況だからこそ、新鮮な言葉のシャワーを浴びるために、積極的に会話をするべきなのだと著者。

対面での会話はオンラインに比べて内容が濃くなりやすいので、新しい言葉に出会える可能性が上がります。(中略)

また、会話することは語彙力アップを促すだけではなく、言語化力を高めることにも直接的につながります。(37ページより)

雑談や会話を盛り上げるために必要なのは、相手の言葉や言外の仕草を確認しながら、こちらの出方を臨機応変に変えること。

別ないいかたをすれば、「あれ、いまの言葉じゃ伝わらなかったかな? じゃあ、こういう表現にしてみよう」というように、会話を「言語力アップのためのトレーニング」として活用できるわけです。(36ページより)

【言葉に出会う(2)】体験する

たとえば商品の魅力をプレゼンする際、理屈だけを並べて説明したとしても伝えたいことは伝わりません。重要なのは、自分の体験を交えて熱く語る力であるはず。

体験することで得た感覚や感情、情報などは、その人独自のものです。オリジナリティのある言葉は人を惹きつけ、説得力を持って相手の胸に迫ります。

だから、様々な体験をしましょう。体験すればするほど、持っている言葉に奥行きが生まれ、深みも増していきます。(38ページより)

旅に出るなどの大きなことだけでなく、美術館に行く、コンビニの新作スイーツを食べてみるなど、体験はどんなことでもOK。ただし大切なのは、たとえ小さな体験であったとしても、その感想をいろいろなことばで表現してみることだといいます。

たとえば、美術館で絵画を観たとき。「斬新な色使いだな」と思った場合に、「斬新」を他の言葉に置き換えてみる。

あるいは、そもそも「斬新」が自分の気持ちを表す最適な言葉なのか考えてみる。

しっくりこなければ辞書でぴったりの言葉を探してみる。

すると、「深海を思わせるような深すぎる青」という言葉にたどり着くかもしれません。(38ページより)

つまりは新しい言葉との出会いを待つだけでなく、自ら積極的に言葉に出逢いに行く意識を持つことが大切なのです。(38ページより)

【言葉に出会う(3)】本を読む

アメリカの「Business Management Degree」によると、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読んでいるのに対し、年収300万円以下の人はわすか2%しか読んでいないのだそうです。

富裕層が読書を通じ、仕事や人生に役立つインプットを行っているのであろうことは想像に難くありません。

ちなみに楽天ブックスが2018年に実施した「上司と部下の読書事情に関する調査」では、全体の6割が「月に読む本が1冊未満」であることがわかったのだとか。残念な結果ではありますが、見方を変えればこれは大きなチャンスでもあるはずだと著者は述べています。

読書量を増やすことによって、新しい言葉や情報に出会えるチャンスが一気に広がるからです。そのうえ、年収が増える可能性も秘めているわけです。(42ページより)

したがって、今後も読書量を増やしていくことによって、さらに大きなリターンを得ることができるかもしれないということ。読書は必ずしもベネフィットを得ることだけを目的とした行為ではありませんが、とはいえそれを習慣化することに、なんらかの意味があることは間違いないはずです。(40ページより)

本書で紹介されているSTEPは、著者が25年以上にわたって研究・実践をくり返しながら体系化することに成功したオリジナル手法だそう。

読みやすさと取り組みやすさ、ノウハウの再現性の高さを重視しているそうなので、言語化力を高めたい人は参考にしてみるといいかもしれません。

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2023年11月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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