大谷翔平の名言が効く!仕事に悩んだら思い出したい2つのことば

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大谷翔平は、こう考える

『大谷翔平は、こう考える』

著者
桑原 晃弥 [著]
出版社
PHP研究所
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784569903620
発売日
2023/10/04
価格
748円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

大谷翔平の名言が効く!仕事に悩んだら思い出したい2つのことば

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

スポーツの素晴らしさは、人の心に残り続ける歴史的な瞬間を見せて遅れることにあると、『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』(桑原晃弥 著、PHP文庫)の著者は述べています。

第5回WBC決勝戦9回ツーアウト、大谷翔平がエンゼルスの同僚でもありメジャーリーグを代表するバッターでもあるマイク・トラウト(アメリカ代表)を三振に打ち取り、日本に3大会ぶりの優勝をもたらした対決はまさしくそうでした。第2回大会で決勝打を放ったイチロー同様に、今後もWBCが開かれる度に思い出され、語られるものとなるはずです。(「はじめに」より)

大谷が高校生だったころから注目していたという著者が衝撃を受けたのは、彼が「Number」861号で「誰もやったことがないと言われてますけど、誰もやってないからこそ、やってるんですから」ということばを目にしたときだったそう。

多くの人にとって、「みんながやっている」は安心のキーワードであり、「誰もやったことがない」は「やってはいけない」理由ともなり得ます。そんななか、「誰もやったことがない」から「じゃあ、やってみよう」となる大谷は紛れもないイノベーター(革新者)。しかも、それを明るく楽しそうにやってしまうところに大谷の魅力があるということです。

そしてもうひとつの特徴が、「ピンチをチャンスに変えていく力」。大谷は過去に何度もケガや故障を経験しており、高校時代はもとよりメジャーリーグにおいても投げることができなかった時期が多くあります。

しかしそんななかにあっても打者としての練習を積み、実践を経験することで「自分が思っていたはるか上を行く打者としての成長」を果たしているわけです。

本書は、そんな大谷が折に触れて口にした多くのことばのなかから90種を厳選したもの。野球に限らず、「好きを貫く」うえで心にとどめておきたいこと、あるいは「高い目標を掲げて努力を続ける」ことの大切さを教えてくれるものも足す収録されています。

きょうはそのなかから、仕事にも役立ちそうな2つのことばと考え方を抜き出してみたいと思います。

やってみたうえで決めればいい

先入観は可能を不可能にする

(「大谷翔平 野球翔年I」p.47)

仕事をするうえで、経験や知識は貴重です。しかし、ときにそれが先入観となってしまうことがあるのも事実。なにかを見たり、新しいことを考えようとするときに、その先入観が邪魔をするわけです。

このことに関して著者が引き合いに出しているのは、大谷翔平が二刀流への挑戦を決めたときのこと。

その際、プロ野球のOB、とくに名選手や名監督だった人たちの多くが「無理」「不可能」を口にしたのは、まさに先入観のなせる業だったというのです。「エースで3番」であっても、プロ入りに際してはどちらかに絞るのが常識だったからです。

しかし大谷自身は、高校時代に当時不可能といわれた「スピード160キロ」を目標にして見事に達成した経験から、「先入観は可能を不可能にする」ことを理解していたのだといいます。

「自分で無理じゃないかと思ってたら、(160キロは)できなかったと思います。

だから、最初からできないと決めつけるのはやめようと思いました」(25ページより)

プロ野球で二刀流など無理に決まっているという先入観に対し、大谷や栗山英樹監督が考えていたのは「最初から無理だといってたらすべてが無理。やってみなきゃ、わからない」ということ。2つの突出した才能があるなら、その両方を伸ばせばいい。可能か不可能かは、やってみたうえで決めればいいということです。(24ページより)

自分で考え、自分でやってみる

正解はないと思うんですけど、人は正解を探しに行くんですよね。

「これさえやっておけばいい」

というのがあれば楽なんでしょうけど、

たぶんそれは「ない」と思うので

(「道ひらく、海わたる」p.316)

ビジネスにおいて部下を育てるためにもっとも有効なのは、「答えを教えるのではなく、自分で考えさせる」こと

最初から答えを教えてしまうと、たしかに失敗のリスクは減り、早く成果を上げることができるでしょう。

しかし、それでは「自分で考える力」が育つはずもありません。ましてや物事には、必ずしも答えがあるとは限らないもの。だからこそ、考える力が問われるのです。

大谷翔平は誰もやったことのない二刀流に挑戦しているだけに、そこには「これさえやっておけばいい」という正解などないことをよく知っています。

もちろん「投手ならこれを」「打者ならこれを」といった指針はあるはずですが、大谷の体格やパワーにそれが合うかどうかはわかりませんし、ましてや投打の両方を高いレベルでやろうとすると、そうした指針は参考にはなっても正解とはなりません。

だからこそ大谷は自分で閃いたことや、何かを見ていて気付いたこと、第三者の意見で参考になるものがあれば、「とりあえず、やってみる」を大切にしています。(69ページより)

やってみた結果、よかったのであれば取り入れればいいし、ダメならやめればいい。それだけの話。

たしかに世の中には、正解がないことや、正解を誰も教えてくれないことを嘆き、不満を口にする人もいます。が、そもそも正解は教えてもらうものではなく、自ら探し求めるものなのです。

誰もやったことがないことに挑戦する以上、大切なのは自分で考え、自分でやってみること。そうやって、正解を探し続けることが重要であるわけで、それはビジネスにも当てはまることであるはずです。(68ページより)

閉塞感が漂う現代は、とかく生きづらくもあります。しかし、だからこそ大谷のことばから学べるものがあるのではないかと著者は記しています。日常的に起こるさまざまな問題やトラブルをスムーズに乗り越えていくためにも、ぜひ参考にしたいところです。

Source: PHP文庫

メディアジーン lifehacker
2023年12月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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