『古典・新作落語事典』瀧口雅仁著
[レビュアー] 産経新聞社
かゆいところに手が届く落語事典の登場だ。約700席の演題を五十音順に収録。「芝浜」のような人気のある演題では、落語家による演じ方の違いや特徴まで解説している。新作にもきちんと目配りしており、三遊亭円歌の「中沢家の人々」や川柳川柳(かわやなぎ・せんりゅう)の「ガーコン」も収録されている。
最大の特長は、人情噺(ばなし)や艶笑噺廓(くるわ)噺といった種別、噺の場所・舞台や季節、行事、噺の中に登場する幇間(ほうかん)、花魁(おいらん)、武士といったキーワードから演題にたどりつける充実した種別索引であろう。索引の前に置かれた落語江戸歴史地名事典も便利だ。これぞ労作である。(丸善出版・4800円+税)