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- スター・ウォーズ学
- 価格:770円(税込)
■公開前の酷評
公開されるや否や、世界中で記録的なヒットとなっている『スター・ウォーズ』最新作。1977年に公開された第1作は今では誰もが認める名作とされているが、実は公開前に酷評する人もいたのである。それも生みの親のジョージ・ルーカスの面前で……。
新作公開に合わせて刊行された『スター・ウォーズ学』(清水節・柴尾英令 著)には、その時の様子を次のように描写している(以下、同書より)
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(『スター・ウォーズ』が)ようやく完成にさしかかろうという頃。スティーブン・スピルバーグ監督やブライアン・デ・パルマ監督ら、ほぼ同世代の友人や関係者を招き、ルーカスが未完の特撮部分を除いたラッシュ試写を行った。このときの嘘のような本当の逸話が興味深い。
上映後、気まずい空気が流れ、皆一様に批判を口にし始めたが、中でもデ・パルマの作品批判は辛辣だった。ダース・ベイダーを陳腐な悪玉として否定し、フォースという名の便利な魔法を冷笑し、レイア姫の両サイドの三つ編みを“菓子パン”呼ばわりして、冒頭に延々と流れる状況説明のスーパーインポーズの長さに耐えられないと罵倒した。冷めた大人の視線で観れば、どれも、ごもっともな意見だ。
■スピルバーグの慧眼
そんな集中砲火の中、ただ一人、ラッシュ・フィルムを評価していたスピルバーグは、こう言い切った。
「いや、一億ドルは儲かるんじゃないかな」
二人の『スター・ウォーズ』へのリアクションには、映画の捉え方の違いが端的に表れているばかりでなく、監督としてのその後のポジションまでもが示唆されている。
ちょうど『キャリー』(76)を成功させ、美学を貫いて独自の映像スタイルにこだわるデ・パルマにとって、万人に愛される映画など対極の存在だったに違いない。カルトムービーの鬼才の地位を獲得していくデ・パルマらしい意見だった。
一方、『ジョーズ』(75)を大ヒットさせ、多くの観客の心をつかんでいたスピルバーグは、『スター・ウォーズ』のラッシュ・フィルムの中にも、時代が求めるいくつもの要素を見出していた。そして彼は、ルーカスとともに映画の娯楽性を復権させ、映画界を牽引する存在になっていく。
***
もちろん映画の価値は興行成績のみではかられるものではないのだが、デ・パルマよりもスピルバーグの方が、先見性があったのは確かである。そして後世の我々にとっては、スピルバーグの見立てがあたったことを喜ぶべきなのだろう。『スター・ウォーズ学』で、いかにして伝説が生まれたかを予習してから映画館に足を運ぶのもいいかもしれない。
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