稲垣吾郎の「銃」好きな一面が明らかに 『ゴルゴ13』さいとう・たかをの都市伝説に迫る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 SMAPの稲垣吾郎さん(42)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」に7月22日、漫画家のさいとう・たかをさん(79)が出演した。さいとう・プロダクションに稲垣さんが出向き、日本の青年コミックのパイオニアさいとう先生の漫画づくりと歴史に肉薄した貴重な放送となった。

■ゴロゴがゴルゴを……

 さいとう先生の代表作『ゴルゴ13』(リイド社)は世界最強の殺し屋「ゴルゴ13」ことデューク東郷が主人公。連載は今年で48年目、コミックは181巻が出版され、累計発行部数2億冊に届く。稲垣さんは以前フジテレビの番組「SMAP×SMAP」のコントでゴルゴ13のパロディ「ゴロゴ13」を演じていたという浅からぬ縁。今回の課題図書は『さいとう・たかをゴリラコレクション 劇画1964』(リイド社)。番組はさいとう先生の事務所、さいとう・プロダクションで収録された。

■ゴルゴは「眉」から

 番組はさいとう先生が小学館『ビッグコミック』誌の連載の扉絵を描く様子からはじまった。マジックを手にしたさいとう先生はデューク東郷の特徴でもある男らしい黒々とした「眉」を下書きなしで描き始めた。そして「なぞると表情がでない」と下書きをしない理由を解説した。

■都市伝説の真実

 ゴルゴを描く様子をじっくりと見ていた稲垣さんは、大胆にも一部に都市伝説として流布している「さいとう先生はゴルゴの目しか描いていないのではないか?」という説を本人に直撃した。さいとう先生は「いつごろからかそんなん言われるようになってね」と笑い、「60年ちゃんと描いてます」と明確に答えていた。

■分業制を生みだした

 現在も月3本の連載を抱えるさいとう先生。48年間休載なしで『ゴルゴ13』を描き続けている。それを支えるのはプロダクション制度による分業制。実は漫画の分業制を生み出したのはさいとう先生だった。さいとう・プロダクションのスタッフは、脚本やネーム・作画など担当が細かく分かれており、そうして作られた作品の最後のページにはスタッフの担当が明記してある。さいとう先生はそのなかで自分の役割は「脚本兼監督兼主演みたいなことですよね」と解説した。

 さいとう先生はそうした分業制ができた背景を「なんとか早くつくろうと頑張った」と述べ、「ドラマを考える才能と絵を描く才能は絶対別」ともいう。そして「歌でもそうですよね、得手不得手というか」と稲垣さんに話を振ると、稲垣さんは「役割担当ってグループでもそうですもんね」と多彩な才能の集まったSMAPに当てはめて答えていた。

■銃好きな稲垣さん

 またさいとうプロの資料室も公開された。そこには300挺を超えるモデルガンが並んでおり、稲垣さんは「うわっすごい!すごいですね。僕銃大好きなんですよ!」と興奮を抑えられない様子。稲垣さんは並んだ銃を手に取って次々と蘊蓄を披露。これにはさいとう先生も「よく知ってるわ」と感心していた。

■青年コミックのパイオニア

 番組ではさいとう先生のこれまでの人生も振り返った。幼少期には母親に絵を描くことを反対されていたことや、デューク東郷の「東郷」は中学時代の恩師の名前だったことが明らかにされた。そして1964年日本漫画史に残る一連の漫画を発表。それが今回の課題図書『劇画1964』だ。

 それまで大人向けの漫画は多くても2、3ページのものだった。そんななかでさいとう先生は「大人も読める映画のようなストーリー漫画こそ時代が求めているものだ」と出版社に持ち込み大ヒット。一連の作品は青年コミックのパイオニアとなった。さいとう先生の『劇画1964』に収録されている当時の作品がなければ日本に青年コミックは生まれていなかったと解説された。

ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58から放送中。来週は、永六輔さん追悼。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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