不安なのは知らないから。「発達障害」のキホン――「みんな違って、みんないい」が大切になる

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(photo by Green Planet/photoAC)

あの芸能人も発達障害で苦しんでいた

――ネガティブキャラでブレイクしたタレントの栗原類さんが、8歳のころ、発達障害のひとつであるADD(注意欠陥障害)の診断を受けていたことを明かした。(2016.6.22 デイリースポーツonlineより)

この、表舞台で活躍していた芸能人の告白は大きなニュースとなったので、「発達障害」というワードは広く認知されるようになりました。

その一方で、「発達障害」という名称のみが先行し、障害の特徴や接し方の理解が追いついていないのが現状です。子どもをもつお母さんの中には、検診や学校で、はじめて聞いて、とまどう人もいるかもしれません。

「同級生が発達障害らしいけど、どう対応すればいいんだろう」

「発達障害だと、なにができないの?」

このように知らない言葉にたいして、人は不安を感じるものです。しかし、正しく理解すれば、不安は少なくなるはずです。そこで今回、新しい概念として世の中に広がりつつある「発達障害」について、紹介しましょう。

【本稿は『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』(西永 堅:著)より一部転載しています】

「発達障害」とは?

発達障害とは、発達期において判断される、発達の全般的な遅れや部分的な遅れ、偏りによる障害のことを指し、広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症など)∗、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、知的障害などをまとめた名称です。

しかし「発達障害」のような名称は、あくまでも行政や研究者のために便宜的につくられた定義や分類であり、障害の種類や状態は多岐にわたり、さまざまな特徴があるという理解が必要です。

また「発達が遅い」というのも、同年齢の子どもたちの平均と比べた相対的な評価であり、その子なりの発達を見ていくことが大切です。

∗アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」では、「自閉スペクトラム症」に名称変更されました。

発達障害の人が抱える困難とは?

発達障害の人の社会生活上での困難さは多岐にわたるため、周囲の理解や、それぞれの特徴に応じた適切な支援が必要とされています。発達障害の特徴は主に大きく4つにわけられます。

1、 学習面の困難(LD〔学習障害〕)

LDの場合、全般的な知的発達の遅れはないものの、文章を書くことや筆算をすることが苦手など、学習面で得意なこと苦手なことの差が特に大きく、学校において大きな困難を抱えます。苦手な部分もあるけれど、得意なところもあるというのがLDの最大の特徴です。

アメリカ出身の俳優、トム・クルーズは失読症(文字の読み書きに困難を抱える)で長年苦しみ、セリフを覚える際は、内容をテープに録音してもらうようにしていたそうです。(dmenu映画より)

2、 行動上の困難(ADHD〔注意欠陥多動性障害〕)

ADHDの特徴としては、不注意、衝動性、多動性が見られます。

「不注意」とは、忘れ物が多かったり、おっちょこちょいでよく物を壊したり、ぶつけてしまったりすること。「衝動性」とは、思い立ったことをすぐ行動に移したり、すぐカッとなってけんかをしてしまうこと、「多動性」とは、授業中や全校集会、行事などで落ち着いて先生の話を聞けずに、手遊びや立ち歩いてしまったりする行動がよく見られることです。

日本実業出版社
2017年3月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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