【話題の本】『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』 古文書通じ歴史の楽屋裏へ

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 「徳川埋蔵金」がもしあるとすれば、油酒樽に弐分金の形で詰まっている。終戦の日、当時9歳の常陸宮さまに乗馬を教えるため東京から日光に赴いた男がいた-。

 そうした歴史の楽屋裏に、古文書を通じて踏み込む楽しいエッセー集が本書だ。著者はテレビでおなじみの国際日本文化研究センター准教授。古文書探索に異才ある歴史学者であり、また読書界で「磯田本に外れなし」との定評ある優れたエッセイストでもある。

 担当した中公新書編集部の田中正敏さんによると、今月半ばに2万部でスタートし、発売後数日で早くも3万部の増刷が決まった。

 著者はまえがきで「このごろ、歴史小説を読んでも、面白いものが少ない」と嘆く。なぜか。「古文書が読めない書き手が書いた歴史叙述は、結局、情報を、どこからかコピーして借りてこないといけないから、面白味がなくなってしまう」。古文書をはじめとした歴史資料をつなぎ合わせ、どう説得力あるオリジナルな歴史像を描き出すか。方法論こそ違えど、実は歴史学者と歴史小説家には共通点が多い。最近は小説も書き始めたと仄聞(そくぶん)する著者の巧みなストーリーテリング力からは、そんなことも感じさせる。(磯田道史著/中公新書・840円+税)

 磨井慎吾

産経新聞
2017年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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