稲垣吾郎「大好きです! 世代を超えて愛される小説」辻村深月の『かがみの孤城』を絶賛[ゴロウ・デラックス]

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TBS「ゴロウ・デラックス」公式サイトより

 稲垣吾郎さん(44)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に29日、作家の辻村深月さんが出演した。辻村さんが影響を受けた作品と自身の中学生時代を語った。

■「さすがの本屋大賞!」

 この日の課題図書は『かがみの孤城』(ポプラ社)。昨年5月に発売された青春小説だ。いじめを受け不登校になった中学1年生の少女が主人公。主人公は自室の鏡のなかに突然現れた奇妙な「城」で生活をすることになる。同じ境遇にある男女とともに、城の謎や願いを叶えてくれる「鍵」を探す。ファンタジーのような設定の中、生きづらい子どもたちの成長と仲間の大切さを描き、著者の最高傑作と推す声もある。書店員が一番売りたい本を選ぶ2018年本屋大賞の受賞作だ。

 番組に登場した辻村さんは書店員によって選ばれたことに対し「この本を必要とする人がいると書店員さんたちが思ってくださったんだなと思う」「主人公たちに対しよかったねと思う」と喜びを表した。

 稲垣さんも『かがみの孤城』を「大好きです。登場人物はみんな中学生なんですけれども世代を超えていろんな方に愛される小説」「さすがの本屋大賞!」と評した。

 辻村さんは本屋大賞受賞後に発表したコメントで《登場人物は中学生ですが、読んでいただくと、どの年齢の方にとっても自分の物語だと感じていただけるのではないかと思います。》と語っている。
https://www.bookbang.jp/article/550692

■稲垣さんみたいな子を出せばよかった

 作品で描かれる不登校の子どもたちの描写には、辻村さんの10代の頃の思いや葛藤が反映されているという。自身の中学生時代を思い返し「大人と子供の境目の時間。自分が将来どうなっていくかも分からないし」「中学時代が一番つらかった」と振り返る。そして「一日も何の憂いもなく行けていたという子はあまりいないと思う」と語り、嫌なことがありつつも毎日を積み重ねる子を描くことで、学校の窮屈さや楽しいばかりではないところも描けるのではないかと作品に込めた思いを語った。

 それに対し稲垣さんは、中学2年から仕事を始めてしまい、学校には「忙しくて行きたくても行けなかった」という。「独特だったなぁ。午後からちょこっと学校に行けるときとか、校庭を歩いているときとか、皆に見られたりして。ちょっとした優越感もありながらもこっ恥ずかしさもあった。中学生のころの色んな事を思い出した」と当時を振り返った。辻村さんは「そういう子も作ればよかった」と構想を膨らませていた。

■影響を受けたのは「ドラえもん」と「綾辻ミステリー」

 同作の主人公は自室の鏡から溢れる光に飲み込まれ、冒険の世界に飛び込む。 それに対し辻村さんは「中学時代に自分の居場所がないと感じた時、私の部屋の鏡は光らなかったけど、 代わりにあったのが本の存在なのかなと思っていて。色んな所に本に連れて行ってもらった」と影響を受けた小説や漫画作品をあげた。漫画好きだった子供時代の思い出の中心にあるのは「ドラえもん」だったという。その魅力は「日常と不思議が地続き」なところだと解説した。

 また高校生の頃に初めて読んで影響を受けたのは綾辻行人さんのミステリー。サイン本のプレゼント企画に100枚のハガキを送るほど好きになり、自身のペンネームにも綾辻さんの「辻」の字をいただいたと明かす。そして綾辻さんのミステリーから「驚きって感動になるんだ」と学んだと語り、その影響から自身が書くものは何を書いてもミステリーになるという。その結果、自分の作品は「綾辻さんのミステリーとドラえもんからもらった少し不思議の世界観」が基本にあると自己分析した。

「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜に放送中。次回の放送は7月5日。ゲストは天童荒太さん。課題図書は『ペインレス』(新潮社)。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/

Book Bang編集部
2018年6月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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