でんぱ組の夢眠ねむ 著書で語っていた「引退後の夢」

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日販の倉庫で大量の書籍に囲まれ嬉しそうな、ねむきゅん(撮影/チェリーマン)

「私 夢眠ねむは芸能活動10周年を機にでんぱ組.incを卒業、そして芸能界を引退致します」
 アイドルグループ「でんぱ組.inc」の“ねむきゅん”こと夢眠ねむが、来年1月7日の東京・日本武道館の公演をもってグループを卒業、3月末に芸能界を引退することを自身のツイッターで発表した。気になる引退後は、自身がデザインしたキャラクター「たぬきゅん」のプロデュースを行いながら、念願だった実店舗の書店「夢眠書店」開店を目指すという。

いつか本当に書店を開きたい

 実は、この書店開店に向けた活動は引退発表前から始まっていた。昨年刊行された夢眠ねむの著書『本の本 夢眠書店、はじめます』では、現役のアイドルが「夢眠書店」開店を目指して、約3年に亘り出版業界のプロを取材した模様が綴られている。

「ある時、深刻な本離れによって本屋さんが減っているというニュースを知ってから、心がざわついていました。(中略)私にも本の業界のために何かできるかもしれない。本が好きな人にも、本が苦手な人にも愛される本屋を作りたい!! そんな思いを胸に、取材をしてみると、今まで気付かなかったことにたくさん出会えました」

 子どもの頃から本が大好きで、アルバイトも書店だったという夢眠ねむが取材で訪ねたのは、大型書店や本の流通センター、週刊の漫画編集部、出版社の宣伝マン、ブックデザイナー、ベテランの校閲者など。毎回、本に関する様々な疑問をぶつけつつ、その「出版業界のプロ」から、書店開業へのアドバイスも受けている。このルポは、単なる職業紹介ではなく、「いつか本当に書店を開きたい」という、彼女の強い願いから生まれたものだったのだ。

どうすれば、本は読者に届くのだろう

 長引く出版不況の影響もあり、全国の書店数は減少を続けている。10年前に比べ3割近くも減ってしまったという調査結果もあり、逆に書店ゼロの市町村がどんどん増えているのが現状だ。 
 書店を取り巻く環境が年々厳しくなるなか、夢眠ねむがこだわるのは、あくまで紙の書籍を店頭に並べる実店舗。たくさんの人の手を経て生まれた本を、お客さんが自分の手に取る、そんな「出会い」を大切にしたいことは、同書で何度も強調している。

「『勉強が嫌い』というのと同じ感覚で、本を『怖い』と思って読まなくなっている人もいっぱいいるみたいで。(中略)なので、本を怖がっている人に『怖くないよ』って伝えて、本がたくさんの人の手を通ってできていることを色々な世代の人に見てほしくて。それで夢眠書店を作ろうと思ったんです」

 アイドルとして、アキバ文化を世界に発信しつつ、映像監督やコラムの執筆など、様々なジャンルで活躍し続けてきた夢眠ねむ。彼女が開店を目指す「夢眠書店」は、様々な人たちと大好きな「本」が出会う場所となるのだろうか。

『本の本』は次の一文で締めくくられている。

「無事開店したら、あなたのご来店を心よりお待ちしております!! 夢眠ねむ」

Book Bang編集部
2018年10月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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