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- 芙蓉の干城
- 価格:1,815円(税込)
第4回渡辺淳一文学賞が4日に発表され、松井今朝子さんの『芙蓉の干城』(集英社)に決まった。
受賞作『芙蓉の干城』は、日中戦争前の昭和8年、東京の歌舞伎界を舞台にしたミステリー作品。歌舞伎の殿堂・木挽座のそばで右翼結社の大幹部・小宮山と芸妓の照世美の惨殺死体が発見され、警察から捜査協力を要請された主人公が複雑な人間関係の中から事件の真相を暴く。なお、本作は2016年に刊行された『壺中の回廊』の続編となる。
文芸評論家の末國善己さんは、本作について「無関係に思えるピースが集まり、意外な絵を浮かび上がらせるプロット重視のミステリで、小宮山殺しの動機は、昭和維新をなそうとした青年将校の志と二重写しになっている。ここには少数の人間が力を使って社会をドラスティックに変えることの是非を問う視点があった」(ランティエ・書評)と評している。
(https://www.bookbang.jp/review/article/562444)
著者の松井今朝子さんは、1953年京都市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了後、松竹株式会社に入社。歌舞伎の企画制作に携わった後、故・武智鉄二氏に師事し、歌舞伎の脚色・演出を手掛ける。1997年に『東洲しゃらくさし』で小説家としてデビュー。同年『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、2007年には『吉原手引き草』で直木賞を受賞する。著書に『師父の遺言』『縁は異なもの 麹町常楽庵 月並の記』『料理通異聞』などがある。
渡辺淳一文学賞は、昭和・平成を代表する作家・渡辺淳一の功績を讃え、2016年に集英社により創設された文学賞。前年1月から12月に刊行された小説を対象に純文学・大衆文学の枠を超えた、人間心理に深く迫る豊潤な物語性を持った作品に与えられる。第4回の選考委員は、浅田次郎さん、小池真理子さん、高樹のぶ子さん、宮本輝さん4氏が務めた。
昨年は、東山彰良さんの『僕が殺した人と僕を殺した人』(文藝春秋)が受賞。第2回は平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)、第1回は川上未映子さんの『あこがれ』(新潮社)が受賞している。
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