第30回ミズノスポーツライター賞が発表 ラグビー日本代表になった外国人選手に迫った一冊が最優秀賞に

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 第30回ミズノスポーツライター賞が5日に発表され、最優秀賞に山川徹さんの『国境を越えたスクラム』(中央公論新社)、優秀賞に阿部幹雄さんの『那須雪崩事故の真相』(山と渓谷社)の受賞が決定した。

 最優秀賞を受賞した『国境を越えたスクラム』は、ラグビー日本代表になった外国人選手たちの奮闘と思いに迫った一冊。

 著者の山川さんは、全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場した経験のあるノンフィクション作家。大学在学中からフリーライターとして活動し、著書に調査捕鯨に同行した『捕るか護るか? クジラの問題』、東日本大震災での救援した体験を綴った『東北魂 ぼくの震災救援取材日記』、3.11をきっかけにAV女優となった女性たちに迫った『それでも彼女は生きていく』、乳酸菌飲料カルピスを作った三島海雲を描いた『カルピスをつくった男 三島海雲』などがある。

 優秀賞を受賞した『那須雪崩事故の真相』は、高校生ら8名が死亡、40名が重軽傷を負った那須雪崩事故を多角的に検証したノンフィクション。雪崩事故の発生の経緯からその原因を丹念に追跡する。

 著者の阿部さんは、中国の高峰で8人が滑落死する遭難で生き残り、長年にわたり遺体の捜索収容を行なってきた写真家・ビデオジャーナリスト。写真週刊誌「FOCUS」、北海道テレビ放送HTBの契約記者を経て、第49、50、51次日本南極地域観測隊(2007~2010)のセール・ロンダーネ山地地学調査隊にフィールドアシスタントとして参加。仕事のかたわら、雪崩教育や山岳救助に関するボランティア活動を行っており、雪崩事故防止研究会代表、山岳レスキュー研究会で副代表を務める。

 ミズノスポーツライター賞は、スポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待し、これからの若手スポーツライターの励みになる事を願い制定された賞。スポーツに関する報道・評論およびノンフィクション等を対象として、優秀な作品とその著者を顕彰する。第30回の選考委員は、河野通和さん、上治丈太郎さん、杉山茂さん、ヨーコ・ゼッターランドさん、高橋三千綱さん、水野英人さんの6名が担当した。

 昨年は、最優秀賞に鈴木ふさ子さんの『氷上のドリアン・グレイ―美しき男子フィギュアスケーターたち』(アーツアンドクラフツ)、優秀賞に田村明子さんの『挑戦者たち 男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)と長束恭行さんの『東欧サッカークロニクル』(カンゼン)が受賞。過去には毎日新聞社 五輪取材チームによる『バルセロナ五輪 連載企画報道』(第3回)、中村計さんの『甲子園が割れた日-松井秀喜5連続敬遠の真実』(第18回)、布施鋼治さんの『吉田沙保里~119連勝の方程式~』(第19回)などが受賞している。

Book Bang編集部
2020年3月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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