本屋大賞受賞・町田そのこを輩出した「女による女のための文学賞」とは[文芸書ベストセラー]

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 6月29日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『月が導く異世界道中(16)』が獲得した。
 第2位は『52ヘルツのクジラたち』。第3位は『小説8050』となった。

 2位の『52ヘルツのクジラたち』は2021年本屋大賞を受賞した作品。累計発行部数は40万部を突破している。著者の町田そのこさんは2017年に『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』(新潮社)でデビュー。その前年に同書に収録された「カメルーンの青い魚」で「第15回 女による女のためのR-18文学賞」で大賞を受賞している。町田さんデビューのきっけかとなった「女による女のためのR-18文学賞」は新潮社の女性編集者が発案した「女性が書く、性をテーマにした小説」を大賞とした賞。現在はもう少し幅広くなり、「女性ならではの感性を生かした小説」を募集している。同賞は吉川トリコさん、窪美澄さん、彩瀬まるさん、一木けいさんら多数の女性作家を輩出している。賞の選考委員も光野桃さん、角田光代さん、山本文緒さん、唯川恵さん、三浦しをんさん、辻村深月さんら錚々たる女性作家が務めており、書評家の吉田伸子さんは同賞を解説した記事で《選考委員がここまで詳しく候補作を読み解いて、長所も短所もきちんと指摘してくれるという点では、数多ある新人賞のなかでも、このR-18文学賞が一番なのではないか。》と述べ、先輩女性作家たちに《まだまだ数が少ない女性作家を増やしたい、だから女性作家の卵たちを応援したい、という思いがそこにあるからではないか》と分析している。
https://www.bookbang.jp/article/683826

1位『月が導く異世界道中(16)』あずみ圭[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

リミア王国の大貴族に依頼され、精霊が死に絶えた不毛の湿原――ナイトフロンタルの調査を開始したクズノハ商会一行。早速不可解な現象に巻き込まれた彼らは、拠点の小屋ごと湿原の奥地に転移させられてしまう。調査員達が絶望する中、真は土と火の上位精霊を呼び出し、彼らの協力を取り付ける。呪われた地を解放すべく、精霊を喰らう元凶になっている大樹を目指す一行だったが、そこには思わぬ相手が待ち受けていた。(アルファポリスウェブサイトより)

2位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ[著](中央公論新社)

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『小説8050』林真理子[著](新潮社)

従順な妻と優秀な娘にめぐまれ、完璧な人生を送っているように見える大澤正樹には秘密がある。有名中学に合格し、医師を目指していたはずの長男の翔太が、七年間も部屋に引きこもったままなのだ。夜中に家中を徘徊する黒い影。次は、窓ガラスでなく自分が壊される――。「引きこもり100万人時代」に必読の絶望と再生の物語。(新潮社ウェブサイトより)

4位『異世界はスマートフォンとともに。(24)』冬原パトラ[著]兎塚エイジ[イラスト](ホビージャパン)

5位『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』ありぽん[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

6位『推し、燃ゆ』宇佐見りん[著](河出書房新社)

7位『琥珀の夏』辻村深月[著](文藝春秋)

8位『異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。(5) この世界は俺にとってイージーモードでした』WING[著](アルファポリス 発行/星雲社 発売)

9位『白鳥とコウモリ』東野圭吾[著](幻冬舎)

10位『水属性の魔法使い 第一部 中央諸国編(2)』久宝忠[著]ノキト[イラスト](TOブックス)

〈文芸書ランキング 6月29日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年7月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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