池井戸潤の超毒舌小説が帰ってきた コロナ禍に渦巻く陰謀論を笑い飛ばす『民王 シベリアの陰謀』がベストセラーランキング1位

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 10月5日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『民王 シベリアの陰謀』が獲得した。
 第2位は『月が導く異世界道中 17』。第3位は『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』となった。

 1位に初登場の『民王 シベリアの陰謀』は池井戸潤さんが2010年に発表した小説『民王』(ポプラ社 文庫本はKADOKAWA)の続編。前作は内閣総理大臣の父と大学生の息子が繰り広げる笑撃の政治コメディサスペンス。2015年には実写ドラマ化され、遠藤憲一さんと菅田将暉さんが主役を演じた。今作も秘密を抱えた二人が「温暖化」「ウイルス」「陰謀論」がはびこる異常な世の中で奮闘する。現実の世界に蔓延する問題を下敷きにしつつ、池井戸流の痛快エンターテイメント作品に仕上げている。

 ドラマ「民王」のプロデューサーを務めたテレビ朝日の飯田サヤカさんは今作を《民王の「怒られ上等」「やっちゃえ感」の悪戯心があの時のまま、時代を超えてやってきた、各所への失礼発言満載の抱腹絶倒ギャグ風刺政治小説です。決して真面目な小説ではありません》と紹介。池井戸さんがコロナ禍の日本に流れていた《どこか大騒ぎしながらも本質に誰も触れてない空虚な右往左往、毎日大の大人が大真面目にやっているけどなんだか全てそれがギャグみたいに見えている》そんな空気をまとめた毒舌小説であると評している。

■【飯田サヤカさんによる書評全文】池井戸潤『民王 シベリアの陰謀』
https://www.bookbang.jp/review/article/705288

1位『民王 シベリアの陰謀』池井戸潤[著](KADOKAWA)

「マドンナ・ウイルス? なんじゃそりゃ」第二次内閣を発足させたばかりの武藤泰山を絶体絶命のピンチが襲う。目玉として指名したマドンナこと高西麗子・環境大臣が、発症すると凶暴化する謎のウイルスに冒され、急速に感染が拡がっているのだ。緊急事態宣言を発令し、終息を図る泰山に、世論の逆風が吹き荒れる。一方、泰山のバカ息子・翔は、仕事で訪れた大学の研究室で「狼男化」した教授に襲われる。マドンナと教授には共通点が……!? 泰山は、翔と秘書の貝原らとともに、ウイルスの謎に迫る!!(KADOKAWAウェブサイトより)

2位『月が導く異世界道中 17』あずみ圭[著](アルファポリス)

クズノハ商会代表としての各国歴訪を終えて亜空に戻った真は、自分の商人としての考えの甘さを痛感していた。改めて人の悪意というものと向き合う決意を固めた彼は、ツィーゲの街の有力商人レンブラントを訪ねる。世の中の表と裏を知り尽くす大商人に教えを乞おうとした真だったが、反対にこの街で進行する革命の計画について意見を求められてしまう。発展めざましいツィーゲの街で、クズノハ商会がさらなる躍進を遂げる!?(アルファポリスウェブサイトより)

3位『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』ブレイディみかこ[著](新潮社)

中学生の「ぼく」の日常は、今も世界の縮図のよう。授業でのスタートアップ実習、ノンバイナリーの教員たち、音楽部でのポリコレ騒動、ずっと助け合ってきた隣人との別れ、そして母の国での祖父母との旅――”事件”続きの暮らしの中で、少年は大人へのらせん階段を昇っていく。80万人が読んだ「親子の成長物語」、ついに完結。(新潮社ウェブサイトより)

4位『異世界のんびり農家 11』内藤騎之介[著](KADOKAWA)

5位『透明な螺旋』東野圭吾[著](文藝春秋)

6位『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』佐藤愛子[著](小学館)

7位『ペッパーズ・ゴースト』伊坂幸太郎[著](朝日新聞出版)

8位『さよならも言えないうちに』川口俊和[著](サンマーク出版)

9位『アラフォー賢者の異世界生活日記 15』寿安清[著](KADOKAWA)

10位『純猥談 私もただの女の子なんだ』純猥談編集部[編](河出書房新社)

〈文芸書ランキング 10月5日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年10月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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