本屋大賞『同志少女よ、敵を撃て』を読み、ソ連兵として戦うウクライナ出身の少女スナイパーに思いを馳せる[文芸書ベストセラー]

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 4月12日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『同志少女よ、敵を撃て』が獲得した。
 第2位は『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身8」』。第3位は『もう一度、歩きだすために 大人の流儀11』となった。

 1位の『同志少女よ、敵を撃て』は4月6日に発表された「2022年本屋大賞」で大賞を受賞した作品。昨年11月に発表以来第166回直木賞候補にも選出され大きな話題を呼んでいた。また2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、さらなる注目を浴びた。物語は第二次大戦下のソ連を舞台に故郷の村をドイツ軍に焼かれ、女性でありながら狙撃兵となった少女セラフィマを主人公に、戦争の悲惨さと理不尽さを描いている。

 書評家の大矢博子さんはウクライナ侵攻のニュースに触れたとき、物語に登場するウクライナ出身の狙撃兵の少女オリガを思い出したという。《オリガは言う。「ウクライナがソビエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる?」「ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪すべき農地よ」「ウクライナでは、みんな最初はドイツ人を歓迎していた。これで、ソ連からウクライナは解放されるんだって」。》《しかしオリガはソ連兵のひとりとして戦うのだ。それはなぜか。彼女に何があり、彼女が何を選択し、そしてどうなったか。どうか本編で確かめてほしい。》と勧め、そのように思いを馳せることが出来ることこそ、《「ここではない場所・今ではない時代」を舞台にした文学の力なのである》と同作を今読むべき意義を解説している。

1位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。独ソ戦、女性だけの狙撃小隊がたどる生と死。 独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために……。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした”真の敵”とは?(早川書房ウェブサイトより)

2位『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身8」』香月美夜[著](TOブックス)

「絶対に助けます。手段なんて選びません」ローゼマインは戦準備へ突き進んでいた。大領地、中央、王族、神々……何を敵に回しても、危機に瀕したフェルディナンドを必ず救う。メスティオノーラの書を有効活用し、国境門を使って時間短縮。ダンケルフェルガーの騎士達をも味方につけてーーシュタイフェリーゼより速く!いざ出陣!ランツェナーヴェとの戦いが始まる一方、ゲオルギーネ達が侵攻を開始する。神殿や下町の民は心を一つに「エーレンフェスト防衛戦」へ挑むのだった。本物のディッターの勝利をつかめ!圧巻の書き下ろし閑話集ほか100ページ超!椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(TOブックスウェブサイトより)

3位『もう一度、歩きだすために 大人の流儀11』伊集院静[著](講談社)

累計220万部を突破した大ベストセラー「大人の流儀」シリーズの第11弾、『もう一度、歩きだすために』がいよいよ発売となります。 著者の伊集院静氏はくも膜下出血を患い、一時は生死の境を彷徨いました。 「もしこのまま目が覚めなかったら……」 そんな不安が頭をよぎり、眠れない夜を過ごすこともありました。 それでも、伊集院氏は帰ってきました。再び筆をとった氏が見たのは、コロナ禍に苦しみながらも、懸命に生きる人々の姿でした。 大切な人を失ったあなたへ、生きることに絶望してしまったあなたへ、そしてコロナ禍に苦しむすべての人へ。 「それでも人には、再び立ち上がる力がある」 二十歳で弟、三十五歳で妻・夏目雅子との死別を体験してきた作家は語りかけます。 伊集院氏の言葉がきっと、先行きの見えない世の中を歩んでいく際の道標になるはずです。(講談社ウェブサイトより)

4位『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成[著](KADOKAWA)

5位『香君 上 西から来た少女』上橋菜穂子[著](文藝春秋)

6位『香君 下 遥かな道』上橋菜穂子[著](文藝春秋)

7位『ふつつかな悪女ではございますが4 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』中村颯希[著](一迅社)

8位『正欲』朝井リョウ[著](新潮社)

9位『赤と青とエスキース』青山美智子[著](PHP研究所)

10位『奇跡』林真理子[著](講談社)

〈文芸書ランキング 4月12日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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