【話題の本】『ベイビーレボリューション』浅井健一文、奈良美智絵

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■平和の扉を開く

ロックミュージシャンの浅井健一さんが「SHERBETS」名義で、平成17年に発表したプロテストソング「Baby Revolution」の突き抜けた壮大な世界観に感銘を受けたクレヨンハウスの吉原美穂さんが、浅井さんに絵本化を打診したのが始まりだ。浅井さんと交流のあった世界的美術作家の奈良美智さんが歌詞にぴったりの絵を添えて絵本は完成。刊行は平成31年1月。

ある日、3万人の赤ちゃんが危険をかえりみることなく、ある場所を目指してはいはいを始める。その数は30万、300万、3000万、3億、30億と増えてゆく。ある場所とは戦場だ。その姿を目にした兵士たちは我に返る。「何のために殺しあうの? 何でこんなことしてるの?」と。平和の扉を開こうとする作品だ。

ロシアのウクライナ侵攻が始まるや、問い合わせが激増し、3~6月の出荷部数は昨年同時期の4倍に達した。吉原さんはいう。「絵本の中にもある言葉ですが、私たちは〈我に返る〉必要があると思います。赤ちゃんは〈生〉の象徴。国や権力者の論理ではなく、一人一人のいのち以上に大事なものはないのだというシンプルな真理を、この絵本で思い出してもらえたら」(クレヨンハウス・1980円)

桑原聡

産経新聞
2022年7月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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