「何を言ってもネタバレになるから、スゴイとしか言えない」衝撃のミステリがクチコミを中心に広がり21万部を突破[文庫ベストセラー]

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 7月25日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『わたしの幸せな結婚 七』が獲得した。
 第2位は『オムニバス』。第3位は『逆ソクラテス』となった。

 4位以下で注目は5位にランクインした『世界でいちばん透きとおった物語』。紙の書籍でしかできない仕掛けが施されており、仰天の読書体験を得られると好評。6月10日に放送されたTBS系バラエティ番組「王様のブランチ」で特集されたほか、若者に人気のYouTuberに取り上げられ、SNSを中心に話題となり累計発行部数は21万部となっている。

 同作は「何を言ってもネタバレになるから、スゴイとしか言えない」との口コミのとおり、レビューすることが非常に難しい作品だ。言語学者で作家の川添愛さんは読売新聞の書評で《秘密に気がついたとき、思わず「えっ、嘘(うそ)でしょ?」と呟(つぶや)いてしまった。まさかそんなはずはないだろう、と思ってもう一度確認した。間違いなかった。直後、背中にゾゾゾーッと鳥肌が立った。ミステリを読んで、ここまで衝撃を受けるのは久しぶりだ。》と自身の感情の動きを解説。そのうえで小説は言葉を使った芸術だが《どんなに巧みに言葉を操る人であっても、言葉では伝えられない何かを持っているはずなのだ》とし、《言葉にならない思いを表現できるのも人間ならば、読み取れるのも人間だ。そして、そのやりとりが成立したときに生じる絆は、言葉によるつながりよりもはるかに強い》と同作を読んで考えたことをネタバレにならないように綴っている。

1位『わたしの幸せな結婚 七』顎木あくみ[著](KADOKAWA)

様々な困難を乗り越えて、ついに迎えた祝言の日。美世は朝から気が気ではなかった。前日に緊急の呼び出しがあり仕事に向かった清霞が、婚礼のはじまる時刻が近づいても帰ってこないのだ。花嫁衣装に身を包み、「誰よりも私が、明日を心待ちにしている」という清霞の言葉を信じて待つ美世。けれどその裏では、五道と深い因縁のある強力な異形の影が動いていた。少女があいされて幸せになるまでの物語は、婚礼を迎え、幸せな「家族」の物語へ――。(KADOKAWAウェブサイトより)

2位『オムニバス』誉田哲也[著](光文社)

葛飾区青戸の女子大生殺害事件。浮上した被疑者は、すでに別件で本所署に留置されていた。勝俣に呼び出された姫川玲子は、本所の案件には触るなと強要される――。(「それが嫌なら無人島」)住人の男が自殺した家の床下から、女性の腐乱死体が発見された!二人の関係は?そして男の不可解な行動の意味とは?(「六法全書」)ほか、姫川玲子が新たな魅力を見せる全七編。(光文社ウェブサイトより)

3位『逆ソクラテス』伊坂幸太郎[著](集英社)

「敵は、先入観だよ」学力も運動もそこそこの小学6年生の僕は、転校生の安斎から、突然ある作戦を持ちかけられる。カンニングから始まったその計画は、クラスメイトや担任の先生を巻き込んで、予想外の結末を迎える。はたして逆転劇なるか!? 表題作ほか、「スロウではない」「非オプティマス」など、世界をひっくり返す無上の全5編を収録。最高の読後感を約束する、第33回柴田錬三郎賞受賞作。(集英社ウェブサイトより)

4位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ[著](中央公論新社)

5位『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光[著](新潮社)

6位『クスノキの番人』東野圭吾[著](実業之日本社)

7位『君たちはどう生きるか』吉野源三郎[著](岩波書店)

8位『あだ討ち 柳橋の桜(二)』佐伯泰英[著](文藝春秋)

9位『正欲』朝井リョウ[著](新潮社)

10位『高家表裏譚7 婚姻』上田秀人[著](KADOKAWA)

〈文庫ランキング 7月25日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年7月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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