「私の体は私のもの 社会の基準にあわせてジャッジする必要はない」西加奈子が乳がん治療体験を綴ったノンフィクション 「世界一受けたい授業」で話題[文芸書ベストセラー]

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 9月5日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『ハンチバック』が獲得した。
 第2位は『くもをさがす』。第3位は『幼女戦記 13 Dum spiro,spero -上-』となった。

 2位の『くもをさがす』は西加奈子さんが乳がん治療の経験を綴ったノンフィクション。2021年にカナダで乳がんと診断され、治療を終えるまでの8ヶ月間を克明に描く。9月2日に日本テレビ系バラエティ番組「世界一受けたい授業」に西さんが出演し、話題となった。西さんは「私の体は私のもの、たった一つですし、 皆さんの体、あなたの体もたった一つの命だし、たった一つの人生なんですよね。 だから、社会の基準に照らし合わせてジャッジする必要は全くないと思うんです」(番組ウェブサイトより)と自分と向き合う方法を語った。

 書評家の東えりかさんは同書を《抗がん剤治療中のコロナ感染とか、乳房の全摘手術後、日帰りで退院させられるとか、鳥肌が立つ場面がいくつもあるが、そんな西さんを元気づけるのは看護師たちだ。全員関西弁にしたのはお節介な大阪のおばちゃんぽかったからかもしれない。》と紹介し、《「くも」は西さんに助けの糸を垂らしてくれた。命ながらえた西加奈子の次の小説が今はとても楽しみだ。》と評している。

 西さんは11月2日に短編小説集『わたしに会いたい』(河出書房新社)の刊行を予定している。

1位『ハンチバック』市川沙央[著](文藝春秋)

第169回芥川賞受賞。選考会沸騰の大問題作!「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『くもをさがす』西加奈子[著](河出書房新社)

カナダでがんになった。あなたに、これを読んでほしいと思った。これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。(河出書房新社ウェブサイトより)

3位『幼女戦記 13 Dum spiro,spero -上-』カルロ・ゼン[著](KADOKAWA)

幼女、独断専行を決意す。連邦の戦略攻勢『黎明』。この発動に向けて、連邦は着々と準備を積み上げていく。迎え撃つ帝国は未だそれに気がついていない。帝国軍に残された時間は、あまりにも乏しい。この窮地に帝国軍では、ただ一人。ターニャだけが気が付く。故に、世界は目にするのだ。黎明があれば、払暁あり、と。ゼートゥーアというシステムが、世界を騙す端緒がついに始まる。その引き金を引いたのは、幼女の皮をかぶった怪物である。(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『近畿地方のある場所について』背筋[著](KADOKAWA)

5位『ハヤブサ消防団』池井戸潤[著](集英社)

6位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

7位『賢者の弟子を名乗る賢者 19』りゅうせんひろつぐ[著](マイクロマガジン社)

8位『すべての恋が終わるとしても -140字の恋の話-』冬野夜空[著](スターツ出版)

9位『すべての恋が終わるとしても -140字のさよならの話-』冬野夜空[著](スターツ出版)

10位『転生したら最愛の家族にもう一度出会えました 前世のチートで美味しいごはんをつくります 2』あやさくら[著](アース・スターエンターテイメント)

〈文芸書ランキング 9月5日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年9月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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