近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。[文芸書ベストセラー]

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 9月12日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『くもをさがす』が獲得した。
 第2位は『ハンチバック』。第3位は『すべての恋が終わるとしても
-140字の恋の話-』となった。

 4位以下で注目は4位『近畿地方のある場所について』。KADOKAWAの運営する小説投稿サイト「カクヨム」に投稿されたモキュメンタリー小説の書籍版。作者自身であるライターの「背筋」による語りや、雑誌記事、インタビュー、ネット掲示板からの抜粋などで構成されており、それらの資料を読み進めるうちに次第に怪異の正体が明らかになってくる。作者のX(旧Twitter)とも連動し、ホラー世界を圧倒的なリアリティでつくりあげ評判となっていた。「カクヨム」でも引き続き読むことはできるが、書籍には描き下ろしのエピソードや取材資料が収録されており、より一層の怖さを楽しみたい人には書籍がおすすめだ。

1位『くもをさがす』西加奈子[著](河出書房新社)

カナダでがんになった。あなたに、これを読んでほしいと思った。これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。(河出書房新社ウェブサイトより)

2位『ハンチバック』市川沙央[著](文藝春秋)

第169回芥川賞受賞。選考会沸騰の大問題作!「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。(文藝春秋ウェブサイトより)

3位『すべての恋が終わるとしても -140字の恋の話-』冬野夜空[著](スターツ出版)

140字で綴られる、恋の始まりと終わり――。(以下、本文『後悔しないように』引用)「もっと早く告白しておけばよかった」幼なじみの彼は言った。慎重なところが魅力な彼だけれど、今回はその人柄が裏目に出てしまったらしい。「元気出して」「まあ大丈夫。お前は俺みたいに後悔するなよ」こんな時ですら私の心配だ。でも、私はそんな彼のことが――。「じゃあ、後悔しないように言うね」(スターツ出版ウェブサイトより)

4位『近畿地方のある場所について』背筋[著](KADOKAWA)

5位『悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!? 6』十夜[著](スクウェア・エニックス)

6位『ハヤブサ消防団』池井戸潤[著](集英社)

7位『虚空教典』剣持刀也[著](KADOKAWA)

8位『すべての恋が終わるとしても -140字のさよならの話-』冬野夜空[著](スターツ出版)

9位『汝、星のごとく』凪良ゆう[著](講談社)

10位『幼女戦記 13 Dum spiro,spero -上-』カルロ・ゼン[著](KADOKAWA)

〈文芸書ランキング 9月12日トーハン調べ〉

新潮社 週刊新潮
2023年9月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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