【話題の本】『あなたが誰かを殺した』東野圭吾著

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■純粋なミステリー

40年近くミステリー界を牽引(けんいん)し、全著作の国内累計発行部数(電子版を除く)は今春1億部を突破した。そんな人気作家の通算101作目となる本書は、デビューの翌年から書き続けてきた「加賀恭一郎」シリーズの最新刊。9月に発売され、4刷21万部に達している。

夏の閑静な別荘地。総合病院の経営者や大企業の会長、公認会計士らの家族が集まった恒例のバーベキュー・パーティーの夜、参加者が襲われる連続殺人事件が発生する。自ら犯人だと名乗り出て逮捕されたのは、被害者となったセレブたちとは何の縁もない男。なぜ、自分の家族は命を奪われたのか―。残された人々は真相を探るためにホテルで「検証会」を開く。そこに登場するのが休暇中の警視庁刑事・加賀恭一郎。加賀の推理によって、それぞれの家族の事情と意外な真相が見えてくる。

高級別荘地、という舞台設定も手伝って、トリックや謎解きの妙味で読ませる本格ミステリー色がかなり強い。「純粋にミステリーとしての面白さを堪能している方が多いようです」と担当編集者。新たな事実が浮かび上がるたびに、事件の相貌は劇的に変わる。最後まで気を抜けない、スリルに満ちた読書体験が待っている。(講談社・1980円)

海老沢類

産経新聞
2023年11月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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