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- 緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方
- 価格:1,540円(税込)
“がん”と診断された医師による著書『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』(あさ出版)が刊行されました。
著者は2023年5月にがんと診断され、長期のがん治療を余儀なくされることを公表した廣橋猛医師です。本書は自身の体験を踏まえて、医者と患者の2つの視点からがん患者やその家族ががんと付き合っていくために必要なことを解説しています。
今回は試し読みとして、本書の冒頭の「はじめに」の部分を公開します。
はじめに
本当にがんになってしまったのか
家族にはなんて言う
一生がんと付き合っていかなければいけないのか
この痛みは我慢するしかないのか
2023年に甲状腺がんと診断されてから手術を経た現在までに抱いた私の気持ちです。特に診断された当日は、頭のなかで得体のしれない不安がぐるぐると回り続けて「なんで自分が」という気持ちに心を支配されました。
おそらく、本書を手に取ってくださった皆さんの多くは私と同じがん患者さん、もしくはそのご家族であることでしょう。
本書では私自身の体験を踏まえて、医者と患者の2つの視点からがん患者さんやそのご家族ががんと付き合っていくために必要な知識を解説していきます。というのも、私はがんの緩和ケア医療を専門とし、これまで医師として患者さんに正面から向き合ってきたのですが、いざ自分ががん患者になると戸惑うことが多くあったのです。
患者さんは、私たち医療者が思っている以上に、さまざまな我慢をしています。私自身も手術前の不安や術後の痛みに悩まされました。医師である私がそうなのですから、一般の方であればなおさらでしょう。
本当の患者さんの気持ちは、その立場になってみないとわからない。そう思い知らされました。特に、私が強く感じたことのひとつは、がん治療中から緩和ケアを受けるべきだということです。
そうすることで、痛みや不安だけでなく、社会的な困りごとを解決できるし、なによりも診断時や早期から取り組むことでがん治療の効果を最大限発揮できるからです。
がんは命を脅かす大変な病気である一方、誰もがなり得る身近な病気です。そして、うまく治療しながら、長く付き合っていける病気でもあります。たとえがん患者になっても、できるだけ病人にはならずによく「生きる」。そのためには、緩和ケアとがん治療を同時に受けるべきなのです。
残念ながら、世間の緩和ケアのイメージは終末期など、もう治らない方が対象だという誤解に包まれていることが多くあります。しかし、実際のところはそうではないのです。実際、私が勤める病院にはがん治療をされながら、緩和ケアを一緒に受けることを希望される方が多く通院されています。
私が心がけているのが、「生きる」ための緩和ケアを行うということです。がん治療しながら緩和ケアを受ける方は、日々の生活をしながら治療に励むわけで、少しでもよく「生きる」ためにどうしたらよいか、一緒に考えてサポートをしています。
本書は、この「生きる」ための緩和ケアを、すべてのがん患者さんに知ってもらいたく執筆しました。構成は以下の通りです。
第1章では、私が甲状腺がんと診断されたときから、治療を受けるまでの葛藤についてまとめました。第2章では実際に治療を開始したときから、その心情の変化や私が感じたつらさを医師と患者の視点から記載しました。
第3章では、緩和ケア医である私ががんになったからこそわかった7つのこと、皆さんに絶対に知っておいてほしいことについてまとめました。第4章では、がん治療を受けながら緩和ケアを受ける必要性についてまとめました。なにが有効なのかその理由やどのように受ければよいか解説しています。
第5章では、病気の種類別に知ってほしいことをまとめました。一言でがんの緩和ケアといっても、病気によって注意すべき点は異なります。類書では一切触れることのない、でもよりよく「生きる」ためには絶対に知っておいてほしいことを記載しました。第6章では、病気が進行した状況、すなわち終末期の緩和ケアについてまとめています。読まれている方の病気の時期に応じて読み進めていただければと思いますが、知っておくことで「もしも」に備えることができるかもしれません。がんがどのように進行していくかを知ることができる内容になっています。
第7章では、ここまで解説してきた「生きる」ためにがんと付き合った患者さんが、どのような人生を過ごしていかれるか、具体的に4人の物語を紹介しています。第6章までで得た知識を、具体的な事例で理解できるようになっています。
本書を通じて、すべてのがん患者さんが、「生きる」ためのヒントが見つかることを祈っています。
永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長 廣橋猛
廣橋猛(ひろはし・たけし)
永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長、緩和ケア病棟長。2005年、東海大学医学部卒。三井記念病院内科などで研修後、2009年に亀田総合病院疼痛・緩和ケア科、三井記念病院緩和ケア科に勤務。2014年から現職。病院での勤務だけでなく、浅草にある野中医院にて在宅医療にも携わる。病棟、在宅とふたつの場で切れ目なく緩和医療を実践する「二刀流」緩和ケア医。主な著書に『素敵なご臨終 後悔しない、大切な人の送りかた』(PHP研究所)、『がんばらないで生きる がんになった緩和ケア医が伝える「40歳からの健康考え方」』(KADOKAWA)がある。
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