「自分らしさ」っていったい何?
「私に価値なんてあるのかな」「もっと自分らしくいたいのに」「私は自己肯定感が低いから」……などと、自分のあり方について悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
こうした悩みにひとりで向き合っていると、自分がどっちに進んだらいいかわからずに行き詰まってしまうことも。
キャリアコーチの馬場啓介氏は、自分のあり方に迷ってしまったときは、「自分と向き合うこと」が大切だと言います。
馬場氏の著書『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』では、自分と向き合うことを難しくする「思い込み」や「盲点」、自分との対話を楽にするポイントを知り、自分と仲良く、ご機嫌でいられる時間が増やせるようになるヒントを紹介しています。
今回は、本書の第一章「『自分』のあり方を考える」より数編を抜粋してお届けします。
自分を知る最良の方法は?
「自分とは、どんな人間だろうか?」
常に人は、この問いの答えを曖昧に考え、悩み苦しんでいます。
「こんなはずではなかった」
「なんであんなこと言ってしまったんだ」
「誰も私をわかっていない」
などと、勝手に架空の自分を自分だと決めつけ、もがいている。
「こうあるべき自分」と「実際の自分」をごっちゃに考え、ズレてしまっている思考です。
「自分」とは、誰かとの関わりの中で存在し、そこではじめて見えてくるものです。
おだてられると調子に乗ってしまう自分、頭のいい人の前では見栄を張ってしまう自分、後輩にはつい偉そうにしてしまう自分。
どれも自分。それ以上、魅力的で素敵な自分は、その相手にとっては存在しない。
そんな自分を受け入れることができてはじめて「なりたい自分」も見えてくるものです。
ただ、自分をより深く知るには、今までより一歩、二歩、深く人と関わる必要があります。
勇気を出し、いつもとは違う関わり方をしてみると、まだ知らない自分や隠れていた自分に出会えるものです。
時には、ケンカできるくらい本音で話せる関係を目指してみる。時には、かっこ悪くても、必死な姿を見せてみる。
そうすると、相手の反応から、さらにまた自分の新たな一面が垣間見られたりするもの。
そもそも、自分で認識できている「自分の課題」は、たいした価値はありません。
人と深く関わり、自分では気づけない課題や伸びしろを指摘してもらえること以上に、深く自分を知ることができる方法はありません。
「こうあるべき自分」は、自分が人に見せ、安心したい理想の姿でしかありません。
自分を知る目的は、自分とのコミュニケーションの質を高め、より成長していくことです。
一歩踏み込んだ人との関わりの中で、色んな自分を知ることができると、もっと深いところで、自分との対話が楽しめるようになります。
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- 迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい
- 価格:1,540円(税込)
もっと「自分らしく」いたいのに
よく耳にする「自分らしさ」という言葉。
この言葉ほど、意味のない言葉はありません。
自分らしく生きよう! 自分らしく働こう! と言う人がいますが、いったい「自分らしさ」とは何なのか。
「真面目でなければ」「優秀でいなければ」「成功していなければ」など、「自分はこういう人間でなければならない」という強い思い込みは、幼いころから親や周りから認めてもらい、自分を守るためにつくってきた虚像に過ぎません。
それを「自分らしさ」と思ってしまうと、人生は悲劇であり、喜劇です。
「自分らしさ」とは、「今の状態」でしかありません。
今の状態ですから、環境や関わる人によって変わるわけです。
あなたが、今「自分らしく生きたい」と苦しんでいるなら、その苦しんでいる状態こそ「あなたらしさ」だということ。
状態である以上、いくらでも良くも悪くも変化し、生まれ変わることもできます。
自分を固定させない感覚は、あなたの無限の可能性を拓きます。
「自分らしく」生きるとは、「今」を大切に生きるということなのかもしれません。
成長するってどういうことだろう
人は、数字など目に見えるわかりやすい成長に囚われがちですが、本質的な人の成長は数字などでは測れないものです。
人の成長は、「想定外の出来事」や「逆境」の時にこそ、判断することができます。
問題を起こしてしまった時、とっさに「言い訳」を考えたり、愚痴を人に巻き散らしてしまう人がいます。
一時的な自己防衛心から生まれてしまう言動ですが、自分にとっても、誰にとっても良いことは一つもありません。必ず、損をしてしまいます。
そんな人が、「言い訳」や「愚痴」を言うのではなく、すぐに反省し、行動を修正できるようになれた時、「人は成長した」と言えます。
まさに「心」が成長し、強くなった結果です。このような変化こそ、人が意識するべき成長です。
馬場啓介氏
努力しているはずなのに、目標数字がなかなか達成できない。
何度企画をプレゼンしても、まったく通らない。
後輩ばかりが褒められて、自分は「まだまだ」としか言われない。
こんな逆境の中、心の中で、どんな会話が交わされているか。
悔しさや、恥ずかしさ、情けなさ、さまざまな感情があふれ、自分でもコントロールできなくなり、逆に無気力になってしまう人もいます。
そんな時にこそ自分にどう寄り添い、中長期的な視点から、自分が損をせず、心を成長させる機会にできるかが、常に私たちに問われています。
その上手な寄り添い方こそ、「自分とのコミュニケーション力」であり、常に私たちが見直し、磨きたい力でもあります。
目に見えにくい「成長」を見守ることを、何より大切にしたいものです。
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