東京都内の高校に通う「僕」はある日、小学生時代にバッテリーを組んでいた年下の「春」と再会する。あのころの僕は体を壁のようにして、春が投げる速球を受け止めていたのだ。高校は不登校になりかけで、アルバイトもうまくいっていない。そんな僕はこの再会を機に、怪しげな闇のビジネスに巻き込まれていく…。
自由奔放で音楽性豊かな冗舌体を駆使し、10代の青春を鮮やかに描き出す。主人公やその仲間たちが抱えている深い孤独と、ささやかな連帯を模索する姿が胸に迫る。第47回すばる文学賞を受けた話題のデビュー小説。(集英社・1870円)
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2024年3月10日 掲載
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