なぜ会ったこともない人に「いつもお世話になっております」と言うの? ビジネスマナーの素朴な疑問を解説

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あなたの給料はお客様が払っている(写真はイメージです)

 なぜ、関わりのない他部署や取引先の人に挨拶をしなければいけないのか? なぜ、有給休暇を取るのに上司の承諾が必要なのか?

 え? どうして? 新社会人として働きはじめると、当たり前とされているビジネスマナーに疑問を抱くこともあるでしょう。

 しかし、その理由がわかれば、ただのマニュアルだと思っていたことの大切さがわかります。

 今回は、2万人以上にビジネスマナーを教えてきた人財育成コンサルタントの山田千穂子先生の著書『マンガで身につく仕事のマナー』(あさ出版)から、会ったことのない人に「いつもお世話になっております」と言う理由を紹介します。

※本稿は『マンガで身につく仕事のマナー』を一部再編集した記事です


「いつもお世話になっています」と言うのには、ビジネスの仕組みが反映されている

なぜ、会ったことのない人に「いつもお世話になっております」と言うのか?

「お世話になっております」という挨拶。最近ではメールの文面でもよく使われますよね。

 なんで知らない人や会ったこともない人に、「お世話になっております」なんて言わないといけないんだろう。自分はお世話になんかなっていないのに……と思うかもしれません。

 ですが、あなた自身はそのお客様と面識がなくても、会社として取引があるのであれば、必然的に、会社の一員であるあなたもお世話になっているのです。

「△△社の○○です」と名乗ることは、あなたは今、会社の代表として、会社の看板を背負ってその方と接しているということ。

 会社は、お客様に商品・サービスを提供することで利益を上げます。その利益が社員の給料として支払われています。

 つまり、あなたの給料はお客様が払ってくれているということ。しっかりとした関わりがあるのです。

 そのお客様との出会いに感謝を込めて、心から「いつもお世話になっております」とご挨拶する。それが、社会人としてのマナーです。

セールスの電話でも言うの?

 電話を受けたら「いつもお世話になっております」と言われた。ところが実はセールスだった、ということもあるかもしれません。

 そんなことがあるとなおさら、「いつもお世話になっております」なんて言う必要はない気がすることでしょう。

 ところがそれも間違いです。

 相手は今はお客様でなくても、将来取引が始まり、お客様になるかもしれませんよね。もしかしたら、仕事ではお世話になっていなくても、一個人としてはすでにお客様であったり、その方のご家族がお客さまであるかもしれません。

 どんな相手でも、いつ、どこでお世話になるかはわかりませんので、「いつもお世話になっております。」という言葉をお伝えしましょう。

 そのうえで、セールスをお断りする時も、「申し訳ございませんが、間に合っております」などと、やんわりとした言葉で、丁寧さを失わない対応をしましょう。

山田千穂子(やまだ・ちほこ)
人材育成コンサルタント/おもてなし道(R)大学学長/株式会社おもてなし道代表取締役/岡崎女子大学・短期大学非常勤講師。損害保険会社で支店長秘書をしながら社員教育・代理店教育等を行う。退職後、人材派遣会社の研修講師として企業の人材育成研修を企画・実施、数多くの講師育成にも携わる。2007年3月、株式会社レインボーコミュニケーションを設立、代表取締役就任(2015年8月、株式会社おもてなし道に社名変更)。自らが提唱する「おもてなし道(R)」を礎に、人と企業のおもてなしを高める『人財』育成を実施。過去24年間で受講者数は2万人以上。丁寧な指導でおもてなし力を向上し、業績アップ・組織の活性化に貢献している。著書に『なんで挨拶しなきゃいけないの? マナーの「ナンデ」がわかる本』(あさ出版)、『ビジネスマナーの「なんで?」がわかる本 ~新社会人の常識 50問50答~』(講談社+α文庫)、『信頼される保育者のためのコミュニケーション・スキル』(西文社・共著)など。

あさ出版
2024年4月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

あさ出版

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