Googleを成功に導いた「10x」という考え方

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世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか

『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』

著者
ピョートル・フェリークス・グジバチ [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784797388381
発売日
2017/01/30
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

Googleを成功に導いた「10x」という考え方

[レビュアー] 印南敦史

きょうご紹介したいのは、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』(ピョートル・フェリークス・グジバチ著、SBクリエイティブ)。著者はポーランドに生まれ、2000年に来日。モルガン・スタンレーのラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデントを務めたのち、グーグルでアジアパシフィック地域の人材開発、グローバルな人材教育戦略などに携わってきたという人物です。

現在は、企業戦略やイノベーションに関するコンサルタント、管理職育成、「新しい働き方といい会社づくり」を支援するかたわら、人事テクノロジーのベンチャーや新規事業開発プロジェクトなども手掛けているのだとか。日本に住んで16年になる、日本びいきでもあるそうです。

そんなキャリアを持つ著者は、日本企業には「持ち帰って検討しすぎる」「分析・検討しすぎる」「打ち合わせ・会議など多くのコミュニケーションがコスト・ムダにしかならない」などの問題があるからこそ生産性が低いのだと指摘しています。「仕事を劇的に変えることが生き残る道になる」とも。

この本で一番みなさんにお伝えしたいのは、「自分の仕事を壊す」ということです。自分の仕事を自分でしなくて済むようにすることこそ、究極的な「効率化」であり、今後生き残るために必要なことです。(「はじめに」より)

では、どうすれば効率的に結果を出すことができるようになるのでしょうか? 第3章「忙しくても、10倍の結果を出すために」から、いくつかの要点を引き出してみたいと思います。

10%アップではなく10倍を目指す

グーグルには、「1億人のためになるサービスでないとスタートしない」という考え方があるそうです。もともとユーザーを拡大しやすいネット業界のサービスであるため、広がらないと意味がないという考え方。そのため「10x」といって、「現場の10倍の成果が出るように考える」ことが求められるのだといいます。ポイントは、10%アップではなく10倍だということ。いますぐはできなかったとしても、1年後、2年後を考えれば、10倍のなにかを達成できる。「そのために、いまなにが必要で、どんな仕事をするべきか」という考え方が根づいているというのです。

10倍で考えると、仕事がルーティンにはなりません。10倍にするには、飛び抜けた発想で考えなければならないからです。毎年同じなら、現状維持どころか、少しずつ減ってしまうでしょう。(105ページより)

もちろん、10倍の成果を出すのは大変。実際には目標が達成できないこともあるそうです。しかし、10倍の目標に対して7割のゴールを達成すれば、以前の7倍の成果が出ていることになるわけですから、実質的には成功したことになります。つまり大事なのは、目標を高く設定し、それに見合うように動いていくことだという考え方。そのためには、新しい技術についていかなければなりませんし、仕事の仕方もどんどん変化させていく必要があるわけです。(104ページより)

10xで成功する人の共通点

ところで「10x」で成功する人には共通して意識していることが11個あるのだそうです。グーグルなら、新入社員の時から期待される内容でもあるのだといいます。

1. 先を予見する
先見性がある人は、常に人より一歩先にいることができるもの。そのためにできることは、次の3つ。

・チャンスと脅威を予見する
仕事においてチャンスと脅威が存在する領域を挙げ、それぞれ「どんな可能性があるか」「それが起こった場合ステークホルダーにどう影響するか」を明確にし、それぞれのレベルで考えてみるということ。

・サイクル、トレンド、パターンを探す
マーケットやセールスなどのサイクル・トレンドを見つけたり、ある一定のスタイル(コミュニケーションスタイル、オフィスのレイアウトなど)を見つけ、上手に利用する。動きのあるものと、パターンで動けるものを分けておくことも大切。

・短期・中期・長期で考える
「5/5/5ルール」を使い、いまから5週、5カ月、5年後になにが起こるのかを考える。1年や2年先を考えるのは珍しくありませんが、少し長めに時間をとって、未来を考えるわけです。

2.相手の立場になる
自分の視点で相手を見るだけでなく、相手の立場や第三者の立場で自分自身を想像してみる。

3.見解を明らかにする
仕事でも、仕事以外でも、重要だと思われるトピックについての自分の見解を持つようにするということ。常に情報収集を怠らず、洞察を深めておくことが必要だといいます。

4.空気を読んで空気を壊す
ときには、人がいわないことをいうことも大切。つまり空気を読んで、あえて空気を壊す発言をするわけです。

5.自分から責任を負う
誰のものでもない問題は放って置かれがちですが、まず、そこに対処する必要があることを明確にし、行動すべきだといいます。

6.参加する
出席して姿を現すことは、成功の基本。電話でも雑談でも、責任を持ってかかわっていく。そしてタイミングを見て、相手を巻き込むということです。

7.ハートに耳を傾ける
洞察は事実とカンに基づくもの。直感が正しいことは、よくあるということです。そこで、自分の身体が示す繊細な信号に耳を澄ませることが大切。また、脳の状態を気にかけ、感情と体をリラックスさせることも大事だといいます。

8.常識を破る
異なる結果を得たいのなら、規則を破っていかなければならないという考え方。

9.前向きに失敗する
失敗は誰にでも起こるもの。失敗を認め、学ぶことを通じてのみ、最終的な成功を収めることができるということです。だからこそ、早く失敗することが重要。あえて自分が苦手なことをして失敗の訓練をしておくことも、よいトレーニングになるといいます。

10.問いかけを続ける
新しい発想を生むには、最初の説明が正解であると決めつけないことが大事。表面だけでは見えないもの、通常の視野の外にあるものを探し求めるため、「なぜ、そうなのか」とかくれた視点を探し、「もしも」と思考実験をしてみるべきだということです。

11.視点を変える
新しい視点で見ることで、対話が前進したり、見逃していた全体像が見えることがあるといいます。

・全体をズームアウト
・細部にズームイン
・裏面
・未来からの視点
・顧客の視点
・ライバルの視点
・普通でない視点(普通は? 深いのは? おかしいのは?)
(131ページより)

たとえば、このような視点を使ってみてはどうだろうかと著者は提案しています。(以上125〜131ページより)

ところでグーグルで実績を積み上げてきたと聞くと、いかにも華やかなバックグラウンドを持っていそうにも思えます。ところが、実際にはまったくそうではないというのです。裏を返せば、バックグラウンドがなくとも、変化に対応していくことによってよりよい人生が送れるということなのかもしれません。最後に、そのことを裏づける印象的な記述をご紹介しておきましょう。

僕はグーグルで仕事をしていましたが、スタンフォード大学やコロンビア大学などの優秀な大学を出たわけではありませんし、裕福だったわけでもありません。むしろ、高校に進学したのは僕ひとり、というようなポーランドの田舎の小さな村で育ちました(筆者注:ポーランドの社会情勢の変化に伴い、高校もやめてドイツへ出稼ぎに行くことになったのだそうです)。それでも周囲の常識に流されるのではなく、自分で世の中を見て、考えて動いてきました。エリートでなくても、やり方がわかれば、うまく仕事を回せるのです。(「はじめに」より)

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2017年2月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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