資格試験に“超速”で合格するために重要な2つの考え方

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

資格試験に超速で合格る勉強法

『資格試験に超速で合格る勉強法』

著者
尾本一明 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799106082
発売日
2017/04/15
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

資格試験に“超速”で合格するために重要な2つの考え方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

資格試験に超速で合格(うか)る勉強法』(尾本一明著、すばる舎)の著者は、行政書士・社会保険労務士。しかし、現在に至るまでの道筋は決して楽なものではなかったようです。

偏差値40台の工業高校に通う高校生だった私は、大学進学という選択肢を検討することもなく、そのまま卒業して地元の機械メーカーに就職しました。そもそも大学に行くだけの学力もありませんでしたから、就職できただけで満足していました。(中略)工業高校卒ですから、当然、職場は工場の現場。朝から晩まで肉体労働です。(中略)やりがいのある仕事でしたし、同世代と比べて給与も悪くはありませんでした。しかし、なんとなく成り行きで就職した会社の仕事は、私にとってはワクワクするものではありませんでした。(「はじめに」より)

そこで「たった一度の人生を『会社の歯車』で終わらせるわけにはいかない」との思いから、行政書士になることを決意して資格試験の勉強を開始。紆余曲折を経ながらも、結果的には行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士など数多くの資格を取得し、晴れて行政書士になれたというのです。

つまり本書ではそのような経験を踏まえ、これから資格試験を受けようという人を「受からない人」「受かる人」「超速で受かる人」の3タイプに分類し、効果的な勉強法を明かしているわけです。

「考え方」に着目したChapter 1「超速で受かる人は『考え方』が違う!」から、2つの考え方を抜き出してみましょう。

資格取得をどうとらえているか?

受からない人  →  試験を受けることが目標

受かる人    →  試験に合格することが目標

超速で受かる人 →  資格取得は(   )ととらえている

(18ページより)

著者は、資格取得を目指して一緒にがんばってきた受験仲間から「試験を受けることに意義がある」という言葉を聞き、戸惑ったことがあるそうです。なぜなら、試験に合格することを目標にするのが当たり前だと思っていたから。そして、このような言葉を使う人は、試験勉強そのものが目的化していると指摘しています。

それでは本気で勉強に打ち込むことはできず、合格が遠のいても不思議ではないということ。遊ぶ時間や寝る時間、テレビを観る時間を削って勉強するわけですから、単に試験を受けることに意義を見出すだけなら、初めから受験しないほうがいいわけです。「参加することに意義がある」のはオリンピックだけ。資格試験では、結果を求めて、最大限の努力をしなければならないという考え方です。

なお試験に受かる人は、常に資格を取得することを目標に勉強しているのだといいます。このタイプの人は、合格後に自分が活躍する“バラ色”のイメージができているというのです。たとえば著者の場合はドラマや映画などに影響を受けるタイプであるため、やる気が出ないときは、自分がめざす資格を持った主人公が難題を解決する場面を繰り返し見ていたのだとか。

ただし、「試験合格」をゴールと決めて勉強することには弊害も。せっかく目標とする資格を取得しても、それを活かさすことなく受験生に逆戻りし、試験合格だけを目的化してしまう「資格マニア」も多いというのです。しかし当然のことながら、それでは本末転倒です。

一方、「超速で受かる人」はどうでしょうか? 著者によれば彼らは、資格を取得して将来どうなりたいのか、どんな人の役に立ちたいか、といったビジョンが明確なのだそうです。だから資格を取得したら、すぐに活用すべく動くというのです。つまり、資格取得は「なりたい自分への通過点」と位置づけているということ。

事実、超速で資格試験に合格した受験仲間のなかには、将来の具体的なビジョンを描いている人が多かったと著者は記しています。つまり、上記の(   )部分に入る言葉は次のようになります。

資格取得は(なりたい自分への通過点)ととらえている

(21ページより)

受かるための勉強法は?

受からない人  →  自分流の勉強法を貫く

受かる人    →  他人の勉強法をまねする

超速で受かる人 →  他人の勉強法を(   )する

(26ページより)

試験に落ちる人は、プライドが高く自分流のやり方を変えないのだそうです。特に高学歴の人は、いままでの勉強法である程度の結果を出してきているので、「資格試験の勉強法はこうしたら効率的ですよ」と伝えても、なかなか従来のやり方を変えようとはしないのだとか。このことについて、「人は変化を嫌う生き物なので、自分流のやり方を変えたくない」のだと著者は分析しています。

しかし資格試験合格は、将来の自分を変えるための通過点にすぎません。そのため、少しでも早く受験期間を終わらせ、資格を活かして収入を得る必要があるわけです。そこで、1日も早く試験を突破するためにプライドを捨て、勉強のコツを学び実践することが大切。そうすれば、最小限の努力と時間で合格できるということ。勉強法は、いまのままの方法がいちばんだとは限らないのです。

その点、受かる人は、他人の勉強法を素直に取り入れるのだそうです。本書を含め、資格試験の勉強法については、さまざまな書籍が出版されています。それらの資格試験合格のノウハウは、いうまでもなく実際に効果のあったものばかり。ですから、どれも試してみる価値があるといいます。

とはいえ、すべてを真似するのは大変で、しかも自分に合わない勉強法もあるので注意が必要。自分に合わない方法はずっと続けず、時間をロスしないようにすることが大切だということです。

資格試験の勉強法で、万人に合う絶対的な勉強法は存在しません。多かれ少なかれ個人差が出ても当然だということ。たとえば著者も、「毎朝4時起きの早朝勉強で合格した」という体験談を読み、まねしたことがあるそうです。ところがもともと朝が苦手だったため、毎朝4時に起きて勉強するのは苦痛でしかなかったのだとか。だから結局は三日坊主に終わり、挫折感だけが残ったというのです。

しかし、それでも勉強時間を確実に確保するためには、会社に出勤する前の朝の時間を有効活用するしかなかったため、再度チャレンジすることに。ただし前回の教訓を生かし、いきなり朝4時に起きるのではなく、これまでより1時間早い朝6時に起床して勉強することにしたというのです。

たしかに1時間早いくらいであれば、それほど苦にもならないはず。事実、その1時間を活用した勉強ははかどったそうです。そして1時間の起床に慣れてからは、30分ずつ起床する時間を早めていったというのです。その結果、3ヵ月後には4時半起床が当たり前になり、朝になると勝手に脳が目覚めて勉強モードに入ることができるようになったそうです。

そんな経験があるからこそ、(もちろん早朝勉強だけに限らず)勉強法やノウハウについては、自分に合いそうだと思ったら、真似してみることが大切だと著者は主張します。そしてその結果、やりづらさを感じるようであれば、著者の起床時間のように自分なりにアレンジしてみればいい。超速で合格する人は、自分流に調整する力に長けているのだという考え方です。

よって、上記の(   )部分に入る言葉は以下のとおり。

他人の勉強法を(自分流にアレンジ)する

(29ページより)

著者は本書を、次のような人に向けて書いたのだそうです。

・資格取得に興味をもっている

・私と同じように、低学歴コンプレックスを抱いている

・専門知識を学んで、「稼ぐ力」を身に付けたいと考えている

・資格で人生を変えるチャンスをつかみたいと感じている

(「はじめに」より)

こうした気持ちがあるのなら、前に進むべきだと著者は訴えます。上記の中から共有できるポイントを見つけることができたなら、ぜひ読んでみて、そしてチャレンジしてみるべきかもしれません。

メディアジーン lifehacker
2017年5月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク