【児童書】『てをつなぐ』鈴木まもる作・絵 構想30年、たどり着いた形
[レビュアー] 三保谷浩輝
「ぼくは かあさんと てを つないだ かあさんは いもうとと てを つないだ いもうとは…」。「てを つなぐ」は家族を飛び出し、広がっていく。
しんぶんやさんやおまわりさん、ほんやさんなど、さまざまな仕事の人から、100以上の国・地域の人々(あの歴史的アーティストも登場)、さらにいろいろな生きものたち(鼻や尾の場合もあり)。
つないだ手は、めぐりめぐって「ぼく」のところに戻ってくるが、隣にはだれもいない。「おーい だれか きてー」と呼び…。
作者が「色々違いがあっても、皆地球の上で生きているのは同じ」ということを絵本で表現したいと思ったのが約30年前。以来、試行錯誤を繰り返し、今回「『おなじ行動』-てを つなぐ-でつながることで一緒に生きていける」形にたどり着いたという。
誰かが隣にいてくれるから手をつなげる。その喜びや、あたたかさが、描かれている人、生きものすべての表情から伝わってくる。さあ、あなたも-。(金の星社・1300円+税)
三保谷浩輝