【児童書】『プランクトンのえほん ミジンコ』吉田丈人・東京大学准教授監修
[レビュアー] 横山由起子
わずか1~3ミリほどの小さな生き物、ミジンコ。春に田んぼや池で動きだすが、寒い冬は、どうやって過ごしているのだろう。そんなミジンコの生態を分かりやすく解説。カラーの顕微鏡拡大写真が圧巻だ。
知られざる性にも踏み込んだ。メスは通常、オスとの交尾を必要とせず、生まれてくるのは全部メスだ。しかし、秋になり水温が下がってくると、オスが生まれ、メスと交尾して、寒さや乾燥に強い「休眠卵」という特別な卵を作って、寒い冬を乗り越えるという。
また、プランクトンの中では大きく、水中で目立つ存在なので、メダカなどの魚によく狙われるそうだ。そこで、敵の臭いを嗅ぎ取ると頭の先をとがらせ、殻を固くして食べられにくい工夫を凝らす。一方、微細なプランクトンを食べ続けるので、しょっちゅうウンチをしているのだとか。
プランクトンシリーズの初巻で、第2弾は「ゾウリムシ」。さらに「植物プランクトン」の刊行も予定。読んでいくとプランクトン博士になれそうだ。(ほるぷ出版・1500円+税)
横山由起子