【児童書】『プランクトンのえほん ミジンコ』吉田丈人・東京大学准教授監修

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ミジンコ

『ミジンコ』

著者
吉田, 丈人
出版社
ほるぷ出版
ISBN
9784593587629
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

【児童書】『プランクトンのえほん ミジンコ』吉田丈人・東京大学准教授監修

[レビュアー] 横山由起子

 わずか1~3ミリほどの小さな生き物、ミジンコ。春に田んぼや池で動きだすが、寒い冬は、どうやって過ごしているのだろう。そんなミジンコの生態を分かりやすく解説。カラーの顕微鏡拡大写真が圧巻だ。

 知られざる性にも踏み込んだ。メスは通常、オスとの交尾を必要とせず、生まれてくるのは全部メスだ。しかし、秋になり水温が下がってくると、オスが生まれ、メスと交尾して、寒さや乾燥に強い「休眠卵」という特別な卵を作って、寒い冬を乗り越えるという。

 また、プランクトンの中では大きく、水中で目立つ存在なので、メダカなどの魚によく狙われるそうだ。そこで、敵の臭いを嗅ぎ取ると頭の先をとがらせ、殻を固くして食べられにくい工夫を凝らす。一方、微細なプランクトンを食べ続けるので、しょっちゅうウンチをしているのだとか。

 プランクトンシリーズの初巻で、第2弾は「ゾウリムシ」。さらに「植物プランクトン」の刊行も予定。読んでいくとプランクトン博士になれそうだ。(ほるぷ出版・1500円+税)

 横山由起子

産経新聞
2018年1月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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