新進気鋭の英会話スクール直伝『挫折せず最速で英会話力を身につける』秘訣は?

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スパルタ英会話

『スパルタ英会話』

著者
小茂鳥雅史 [著]/梅澤翔 [著]
出版社
CCCメディアハウス
ジャンル
語学/英米語
ISBN
9784484192345
発売日
2019/11/30
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

新進気鋭の英会話スクール直伝『挫折せず最速で英会話力を身につける』秘訣は?

[レビュアー] 鈴木拓也

TOEICでそれなりの高得点を挙げていても、「英会話ができる」と胸を張れる人は少ないのではないでしょうか?

日本人の英会話ベタは、海外でジョークのネタになるほどですが、そんな現状を憂えるのが英会話スクール「スパルタ英会話」の創業者・小茂鳥雅史さんCEO・梅澤翔さんです。

スパルタ英会話とは、「学習意欲を保たせ続けること」を重視したメソッドで、3か月後には「誰でも英語で雑談できる」レベルを目指す新進気鋭の英会話スクール。短期間に確かな英会話力がつくと評判で、多くの著名企業が英会話研修に採用するほどです。

その英会話スクールを立ち上げた2人が送り出したのが、著書『スパルタ英会話 挫折せずに結果を出せる最速学習メソッド』(CCCメディアハウス)です。

本書は、グループレッスンを主体とした本校のノウハウをそのまま解説したものではありません。代わりに、独習から始めたい人向けの英会話ハックの数々が凝縮されているのが特徴です。その一部をご紹介しましょう。

鍛えるべきはスピーキング力

英会話力を身につけるのに必要なのは、語彙力でも文法力でもなくスピーキング力だと力説されています。

その理由の1つは、脳の働きから説明できます。リスニング、ライティング、リーディングの場合、脳の言語野が活動します。対して、スピーキングは言語野に加えて運動野も使われます

英語の勉強を積み重ね、「頭の中では言いたいことがあるのに出てこない」という現象が起こるのは、このため。運動野を使うスポーツの練習と同じく、英会話もスピーキングによって運動野をとことん使う必要があるわけです。

そして、スピーキングさえできるようになれば、そのほかの英語スキルは自然と身につくのだそうです。

自分が話していることであれば、スペルさえ合っていればライティングもできてしまいます。声に出せる内容であれば、もちろん内容を理解しているのでリーディングもできるということになります。

リスニングはどうでしょう。声に出してトレーニングするということは《音で覚える》ということになります。そうするとリスニングもできるようになるのです。

歌手がなんと歌っているのか聴き取りづらい曲でも、自分が歌詞を知ってくり返し歌っていれば、歌手がなんと歌っているかわかるようになるものです。

(本書25~26ページより)

長期記憶になるまで声に出して口癖化

スピーキングの重要性がわかったところで、具体的に以下のステップに沿った学習をします。

ステップ1:1日のなかで《10回×3セット》声に出す

ステップ2:1週間同じ文を声に出す

ステップ3:単語を置き換えて声に出す

ステップ4:実践で使って口癖にする

最終的に目指すのは、口グセのレベルになるまで使いこなすことですが、上記の手順を踏むのは人間の記憶力の特性に沿った学習が必要なためです。

ここで引き合いに出されるのが、「ワーキングメモリー」「短期記憶」「長期記憶」という人間に備わった3段階の記憶システムです。

脳は、特に意識せずに見た景色などは、ひとまずワーキングメモリーに保存します。これはそのままだと、すぐに忘れてしまいます。そうならないためには、短期記憶化する必要がありますが、連続した約10秒間、同じ情報に触れ続けねばなりません。

首尾よく短期記憶に保存できれば、数分から数十分持ちます。それをさらに長期記憶化して、はじめて口グセレベルになるのです。

ステップ1: 1日のなかで《10回×3セット》声に出す

ステップ1は、ワーキングメモリーから短期記憶への保存となります。《10回×3セット》とは、1つの文を一度に10回声に出し、それを1日のうちに3回くり返すもの。

文の個数については、やみくもにたくさんではなく「良質に回数をこなす」のが重要。「この範囲は100%できたぞ」となれば自信も増します。

ステップ2: 1週間同じ文を声に出す

ステップ2は、短期記憶から長期記憶への保存です。1週間の間、毎日同じ文を声に出します。次のように、回数は徐々に減らしていってもOK。

初日:10回×3セット(ステップ1)

翌日:5回×2セット

2日後:3回×2セット

3~7日後:1回×1セット

さらに、1カ月後、2カ月後、3カ月後の復習もできればなおよし。「新しいことをどんどん学習するのではなく、時間があるときは復習に重点を置く」というのが秘訣の1つです。

ステップ3: 単語を置き換えて声に出す

長期記憶に保存されたところで、ステップ3に入ります。これは、センテンス内の要素(主語や目的語など)を違う単語に変化させるというものです。

たとえば、“I am interested in that movie.”という基本センテンスがあるとして、次のように置き換えていきます。

He is interested in that movie.

I am interested in that book.

He is interested in reading books.

置き換えたら、これらも声に出して練習しましょう。

ステップ4:実践で使って口癖にする

最後のステップ4の段階で、覚えた文を人との会話で実際に使います。現実世界で使ってこそ、本当の意味でその文をマスターしたことになります。

ここで大事なのが、「間違えたら直後に恥ずかしがらずに必ず言い直す」こと。

たとえば、相手の名前を聞くときは、“Can I have your name, please? ”だと覚えたはずなのに、焦ってしまって、“What is your name? ”と失礼な尋ね方になった場合。

“What is your name? Oh sorry. Can I have your name, please? ”というふうに言い直すわけです。それから、口グセにした5文を書き留め、意図的に使うようにするのも有効。アウトプットの機会をとにかく増やしましょう。

『1分の英文束』をつくって活用

覚えるべき文は、英会話テキストにある出来合いのものではなく「自分が確実に使うセンテンス」であるべきだと、本書で説かれています。

たとえば、旅行業のアテンダントをしている人なら、空港で使う会話は正確かつ丁寧に覚える必要があります。しかし、海外営業で出張をする人なら、空港においては税関を通るための最低限の会話を習得しておけばOKでしょう。

テキストにある例文は、必ず「自分用のセンテンス」にカスタマイズして覚えるようにします。

センテンスを自分専用にカスタマイズして、ノートにでも、スマートフォンにでも、どんどんメモをして増やしていきましょう。

そんなに暗記ばかりで本当に話せるようになるのかと思うかもしれませんが、話せるようになります。

(本書83ページより)

カスタマイズした文は、1分の話になるくらいのボリュームにふくらませます。これが「1分の英文束」。このストックをたくさん作っておけば、いざというときに何十分でも話せるようになるそうです。

たとえば、以下の英文束。完全に覚えておけば、「あとは相手が質問にどんどん答えてくれ」、よどみない会話が生まれます。

What is your hobby? My hobby is collecting coins from all over the world. Every time when I go abroad, I keep coins from that country.

Now I have coins from more than twenty countries. It is fun to show them to my friends.

How about you?

(本書85pより)

ビジネス英会話なら電話の受け方、外資系企業の面接であれば長所・志望理由というふうに、必要とする内容を1分の英文束にし、質疑応答も想定しておくことで、会話がうまく運びます。

実際にこのやり方で、外資系企業の面接に通った人、観光施設で観光案内をしている人など、成功例はたくさんあるそうです。

100のレベルに細分化して課題をクリア

本書の後半は「冒険の書」となっています。これはRPGよろしく、10あるステージのうち100レベルを1つずつクリアしていくことで、およそ3か月で英語圏の人と雑談ができるようになるというもの。

例を挙げると、最初のステージ1レベル1の「クエスト」は、「“3年後、英語を話している自分”を想像した:《目標》設定」となっており、付随して「英語が必要な理由(学ぶ理由)を箇条書きにした」といった、細かいクリア条件が記されています。

ここでのポイントは、書き留めること。「書き留めている人と、そうでない人では、達成率が5倍違う」という研究結果に基づいたものです。「現地の従業員は7割以上が非日本語話者だから」などと手帳に書き留め、スマホにもメモしておきます。

レベルが上がってくると、「スマホとパソコンを英語モードにした」「よくある雑談のイメージトレーニングをした」というふうに具体的な行動目標が占めてきます。

やがて「《進行形》を理解した」など文法事項のクエストが増え、終わりの方では「決めた場所に出向き、外国人に話しかけてみた」といった実践が主体となります。

以上、本書のメソッドの一端を紹介しましたが、著者が力説するのは「90日間はやり通す」覚悟を持つことです。

ほかのことは少々なおざりになっても、本書にある英語ハックを把握し、100レベルの課題をこなすことに注力するという覚悟です。

「今まで何度も挫折してきたけれど、今度こそ英会話をモノにしたい」という方なら、その覚悟は難しくないと思います。本書を手に、張り切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Source: 『スパルタ英会話 挫折せずに結果を出せる最速学習メソッド』(CCCメディアハウス)

メディアジーン lifehacker
2020年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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