『婿どの相逢席』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『婿どの相逢席』西條奈加著
[レビュアー] 産経新聞社
ようじ屋の四男、鈴之助は仕出屋「逢見(おうみ)屋」の跡取り娘、お千瀬の家に婿入りした。実はそこは女が仕切る家。祝言の翌日に隠居を申し渡されてしまう―。
おいしい料理とそれにまつわる人の縁に心が和む、読後感もさわやかな人情時代小説だ。逆玉婚どころか、女将(おかみ)のお寿佐から「子作りに励むほかはよけいな真似をしないように」などといわれてしまう鈴之助。しかし、持ち前の人懐っこさで、女系家族の中に居場所を作っていく。強烈な個性の女性陣に囲まれながら、自分の立場を受け入れ、お千瀬を支えていくしなやかな生き方は、現代的でもある。(幻冬舎・1760円)