『小袖日記』
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【気になる!】文庫『小袖日記』柴田よしき著
[レビュアー] 産経新聞社
失恋した会社員の「あたし」は雷に打たれ、目が覚めるとパラレル世界の平安朝で源氏物語の作者のアシスタントとなっていた。小袖という名前の女房として、物語のネタ探しのためモデルとなる女性たちを訪ね歩くが―。
女性にとって生きづらい時代。夕顔や末摘花といった源氏物語でおなじみの姫君たちが悲しみや喜びを抱えて懸命に生きていたことを知り、「あたし」は成長していく。女性の顔を「おかめ顔」と感じたり、身勝手な男性貴族の振る舞いに怒ったりと、現代の視点でとらえた平安朝の日常生活も新鮮だ。平成22年に刊行された文庫本の新装版。(文春文庫・858円)