仕事の無理、ムラ、無駄を減らす!効果的なタスク管理「+1の習慣」

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プラス1の行動習慣 先が読める人の「ひと手間」大全

『プラス1の行動習慣 先が読める人の「ひと手間」大全』

著者
鳥原 隆志 [著]
出版社
日経BP
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784296000708
発売日
2022/04/17
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事の無理、ムラ、無駄を減らす!効果的なタスク管理「+1の習慣」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

プラス1の行動習慣 先が読める人の「ひと手間」大全』(鳥原隆志 著、日経BP)の著者は「インバスケット」という教育ツールを研究する人物。これまで2万人を超える管理職や経営幹部の教育に携わってきたのだそうです。

インバスケットとは、1950年代にアメリカ空軍で活用が始まったトレーニングツールです。

簡単に言えばシミュレーションゲームです。架空の立場になり切り、制限時間の中で多くの判断や問題解決を行います。

具体的には、急な人事異動で工場長に着任したという想定で、前任者が残したクレーム処理や部下からの相談、本社との折衝案件などを処理します。

私は受講者の回答を分析し、リーダーとして必要な能力がどれだけ発揮されるかを評価します。(「はじめに」より)

そんな著者は、将来に対する不安が多く、自分のことは自分で管理しなければならない時代だからこそ実践すべきことがあるのだと主張しています。それは、「ひと手間」を加えること。

「+2」でなくて「+1」でもいいし、「毎日」でなくて「週1回」だけでもいい。無理をするのではなく、「あとちょっと」やってみる

そういった行動は、仕事のレベルアップはもちろん、自分の成長をもたらします。つまり、人生を豊かにすることにつながると思います。(「はじめに」より)

そこで本書では、未来に備える行動、リスクに対処する行動、信頼を高める行動、効率をアップする行動など、さまざまな「+1」の習慣を紹介しているのです。

第4章「行動に余裕を持たせる」のなかから、「ToDoリスト」に関する知見を抜き出してみましょう。

ToDoリストの見なおしを行う

著者はここで、仕事の「ムリ・ムラ・ムダ」に焦点を当てています。

ムリとは、仕事量の配分に問題があり、キャパシティ以上の負荷がかかっている状態。

ムラとは、仕事の区分に問題があり、稼働率や人が部署によって極端に異なっている状態。

そしてムダとは、仕事の進め方に問題があり、なにも生み出さない時間が発生している状態。

こうした「ムリ・ムラ・ムダ」を排除するためには、「ToDoリストの見なおしを行う」という行動が有効なのだそうです。その方法は2つあるのだとか。

まず「やめる業務」を決めることです。

ToDoリストは「やるべきこと」を列挙したものですが、その中に「やらなくてもいいこと」が含まれていることがあります。

そこでToDoリストを見て、「もしやめたらどのような影響が出るか?」と考えてみる。(174ページより)

ずっとやっていたことをやめるには、勇気が必要かもしれません。しかしやめてみれば、その仕事の意味や意義がわかるもの。そこで、ToDoリストに載っている仕事を「あえてやめてみる」ことを著者はすすめているのです。

そして「ToDoリストの見なおし」のもうひとつの方法は、「本当にやらなければならないことが入っているか」を確認すること。

本来ToDoリストには「やらなければならない」ことばかりが並んでいるはずです。

しかし、将来のために重要なことや、長期にわたり取り組むべきことなどが抜けていることがあります。緊急性が高くないために「すぐにやろう」と意識されていないためです。(176ページより)

重要なポイントは、「緊急性は低いが重要な仕事」をきちんと進めておけば、「緊急性が高く重要な仕事」が削減されるということ。

したがって、従来から続けていた業務の必要性を点検して取捨選択し、余った時間を本来やらなければならない「緊急性は低いが重要な仕事」に回すことを目指すべきなのです。

そうすることで仕事の「ムリ・ムラ・ムダ」が削減され、自分がやりたいことをする時間も生まれるわけです。(173ページより)

ToDoベースでの仕事管理を改め、「面」としてスケジューリングする

当然ながら、多くの仕事を効率よく処理して生産性を上げるために、ToDoリストをつくることは有効です。しかしそこにはデメリットもあると著者は指摘しています。

ToDoリストは「やるべきこと」を羅列したメモに過ぎず、優先順位がつけられていないということ。

逆にいえば、やるべきことを把握するためには、リスト化するだけでなく、優先順位を考えることが重要なのです。やるべきことの処理順位をどう組み立てていくか、しっかり考えることが欠かせないわけです。

そこで大切なのは、ToDoベースでの仕事管理を改め、「面」として捉えてスケジューリングすること。ここでいう面とは、ある基準で区切られたフィールドを指します。

例えば、出張や旅行で東北地方に行くことになったとします。青森市、秋田市、盛岡市の3ヵ所をある期間内に回らなければならないときに、この3都市名や訪問先、宿泊するホテルなどを書き出したものがToDoリストに当たります。

しかし旅行のスケジュールを組むときには、東北地方の地図を広げて眺めながら、鉄道や道路、空港などの交通機関をどう組み合わせて移動するかを検討するでしょう。

つまり、位置関係や移動時間などを確認して計画を組む。これが面としてのスケジューリングですね。(180ページより)

「面としてスケジューリングする」ためにまずやるべきことは、優先順位づけ。

あなたが開業医で、近所で事故があり、大勢の患者が病院前に列を作っているとしよう。あなたは先頭に並んでいる患者から診察すべきかというと、そうではありません。

患者さんの容体を見て、緊急の手当が必要な人を最初に処置すると思います。先頭の患者さんが軽症であれば、その人は後回しでもいいわけです。(180ページより)

もちろん仕事も同じ。ToDoリストに記載された仕事は「病院前に並んでいる患者」であり、それらを分類するためには基準を設けることが重要なのです。そして、やるべきことの優先順位をつけたら、その関連性を考えてみることも大切。関連性がある場合、先に済ませておかなければならないこともあるはずだからです。したがって、それらはまとめて処理してしまうほうが効率的。

このように、やるべきことの優先順位や関連性などを考え、「面として捉えてスケジューリングする」ことにより、仕事の進め方は効率的になっていくわけです。(178ページより)

本書で紹介されている「5秒で始められそうな行動」「ほんのひと手間を加えるだけの行動」を、すぐ始めてほしいと著者は訴えています。簡単にできるのだから、まずは始めてしまおうと。試してみる価値は、充分にありそうです。

メディアジーン lifehacker
2022年4月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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