5つの顔を持つビジネスマンが知的生産性を爆上げするためにいつも「メモ」している内容は?

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メモ・ノートの極意

『メモ・ノートの極意』

著者
弓削徹 [著]
出版社
ぱる出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784827213102
発売日
2022/08/26
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

5つの顔を持つビジネスマンが知的生産性を爆上げするためにいつも「メモ」している内容は?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

大学教員、コンサルタント、コピーライター、セミナー講師、著者、会社経営者という5つの顔を持っているという『アイデア体質になる! 課題が解決する! キャリアが広がる! メモ・ノートの極意』(弓削 徹 著、ぱる出版)の著者は、「バラバラの専門分野での知的生産を可能にしてきたのは、メモとノートの存在」なのだと述べています。

上記のような各分野別、あるいはテーマ別のノート、大学の授業ノート、コンテンツノートがあるからこそ、アウトプットが可能になるというのです。そして、そのノートをつくるための“メモ活動”を、日ごろから習慣にしているのだとか。

その根底には、「必要な情報を性質別にまとめたり、ヒントになりそうな事例を書き込んだりしたノートが手元にあれば、アイデアを出したり、コンテンツを提示したりすることが容易になるのではないか」という思いがあるようです。

アイデアを生み出せる人は、必ずメモやノートを習慣にしています。メモとノートの使い方がその人のアウトプット、つまり発揮できる能力を決めるのです。

それならば、メモとノートを活用しない手はありません。

つねに企画やアイデアを求められる立場で長く仕事をしてきた経験から、発想の瞬発力をラクに上げるにはどうすればいいかを考え、たどり着いた方法が本書のメモとノートの活用法なのです。(「はじめに」より)

なお、アイデアはクリエイターだけが関わることのようにも思われがちですが、それはすべてのビジネスパーソンにも求められるものだといいます。

そうした考え方に基づく本書のChapter 3「メモとノートをどう使い分けるか」のなかから、きょうは「メモ編」に焦点を当ててみることにしましょう。

アイデアを生むためにメモをとる

予定・約束の備忘のため、会議議事録などの記録のため、指示を出すため、企画や課題に関連すること、新情報、知識、アイデアを蓄積するためなど、メモの目的はいくつかに分けられます。

しかしそんななか、いちばん価値を生むことにつながるのはアイデア。しかもそれは、商品開発のアイデアなど典型的なものだけに限らないようです。

なぜなら、多くのビジネスには課題や問題がつきものだから。「どんな売り方をすれば新商品が成功するか」「どんな持ちかけ方をすれば取引先を説得できるか」「チームのモチベーションを上げるにはどうしたらよいか」など、どんな問題もアイデアがあれば解消できるわけです。

まだ顕在化していない世の中のニーズや流行も、どこかで兆しが見つかるものです。

それは、会議中の誰かの発言かもしれませんし、地下鉄で見かけた週刊誌の広告タイトルかもしれません。

自身のなかにそれらが育ち、潜在化する。そうした意識を形式知に変えて、白日のもとにあぶり出す効果が、メモにはあります。

「これは新潮流だ」と気づいてはいない、無意識のトレンドや知恵、アイデアを言葉に変えて書き出し、並べてインデックスできるのがメモなのです。(84〜85ページより)

あるいは、以前に経験した事例や捨ててしまったアイデアが役立つこともあるでしょう。それらを書きとっておいたものや、新たに見聞きして書きとったメモのことばや傾向が、結果的に役立つということです。

ちょっとした変化をメモすることで、連なる現象が発見でき、いち早くトレンドに気づくことができるのです。

ときには単なる誤差だった、ということもあるでしょう。しかし、自身の専門分野や周辺での変化に敏感でいるためには、セキズイ反射的にメモをとっていく習慣は重要です。(86ページより)

メモの多くは、あとから見返すと使えない、くだらないものかもしれません。しかし、たとえほとんどのメモがムダになるとしても、千に3つ以下の確率であっても、たった1枚のメモがどこかで役立てばいいわけです。(83ページより)

どんな要素をメモするのか

せっかくのアイデアも、紙に残さないとすぐに消えてしまいます。ですので、私は重要な作業を止めても、メモを残すことを習慣にしています。

一方で、私がもっとも尊敬する作詞家である松本隆氏は、「メモはとらない。それで忘れるならたいしたアイデアではないのですよ」と述べています。

片やノーベル賞の福井謙一氏は「メモしなくても覚えているような思いつきはたいしたものではない。忘れてしまうような着想こそが貴重」と言っています。

どちらも体験からくる本心なのでしょう。とはいえ、私はワラにもすがりたいほうです。われわれ凡人はささいなことも貪欲にメモをしていくしかないと思っています。(89ページより)

その理由は、たいしたことのないアイデアを逃しているうちに、次の役立つアイデアへと連想が働くかもしれないから。事実、著者がメモに書いていることは、思いつき、らくがき、ヒント、情報、事実、流行、傾向、トレンド、成功事例、アイデア、企画、不思議なこと、関連分野の知見など、多岐にわたるのだといいます。

また、あなた自身の興味ではなくても、取引先の担当者の興味や関心事を知っていたら、それに関連することをネタとしてメモするのも有効です。

商談などの際に披露すると話が弾み、関係性が深まるかもしれません。(90ページより)

なお著者の場合は、ビジネス雑誌などで支援先の業務や商材と関連のある情報を見つけたときには、PDFなどをメールするようにしているのだそうです。

先方がすでに知っているような情報も少なくはないものの、つねに気にかけていることを知ってもらうためにはムダではないという思いがあるから。たしかにそれも、メモの応用として活用できそうなアイデアではあります。(89ページより)

思いついたときにメモできる環境をつくる

さらにいえば、メモできる環境を用意しておくことも大切であるようです。

アイデアを思いつく場所は、人によって傾向が異なります。(中略)私個人はシャワーを浴びているとき、テレビを眺めているとき、が多い印象です。

そうした場所も含め、アイデアを思いついたり、ヒントや情報を得たりしたときに、ストレスなく記録できる準備が必要です。(94ページより)

そこで、同じペンとメモのセットをあらゆる生活空間に置いておくようにすべきだといいます。そうすれば、思いつきをムダにせずにすむわけです。(94ページより)

本書でいうアイデアとは、「日々の仕事を加速させる、キラリと光るアイデア」なのだといいます。そして、メモとノートを活用することにより、アイデアの出せる、ひとクラス上のスペシャリストに成長できるというのです。アイデアをより活用するために、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: ぱる出版

メディアジーン lifehacker
2022年8月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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