『ぼんやりとした不安の近代日本 大東亜戦争の本当の理由』浜崎洋介著

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ぼんやりとした不安の近代日本

『ぼんやりとした不安の近代日本』

著者
浜崎洋介 [著]
出版社
ビジネス社
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784828424293
発売日
2022/08/03
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『ぼんやりとした不安の近代日本 大東亜戦争の本当の理由』浜崎洋介著

[レビュアー] 産経新聞社

昭和2年、「ぼんやりした不安」という言葉を残して芥川龍之介は自殺した。近代化が進むほどに日本人は生き方を支える伝統的な「型」を失い、さりとて西洋にも同一化できず、自己喪失の不安が大きくなっていく。よるべき支柱がなくなった社会は「空気」に支配されるようになり、刹那的熱狂と他者感覚のマヒによる対外摩擦が繰り返された末に、対米開戦という破局に至った。それは自滅的選択ではあるが、同時に奇妙な爽快感を伴うものでもあった。

あの戦争の根底にあるのは、近代日本人の孤独と不安だった。気鋭の批評家が見事に描く近代日本精神史。(ビジネス社・1650円)

産経新聞
2022年10月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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