元国税芸人が教える、フリーランスが気をつけたい危険度の高い仕事依頼4つのフレーズ

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元国税芸人が教える!フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話

『元国税芸人が教える!フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』

著者
さんきゅう倉田 [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784866674308
発売日
2023/02/16
価格
1,485円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

元国税芸人が教える、フリーランスが気をつけたい危険度の高い仕事依頼4つのフレーズ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

元国税芸人が教える! フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』(さんきゅう倉田 著、あさ出版)の著者は、「芸人、ファイナンシャルプランナー」という変わった経歴の持ち主。

大学卒業後に国税専門官採用試験を受けて東京国税局に入局し、中小法人を対象とした法人税や消費税、源泉所得税、印紙税の調査に携わったのちに退職。以後は吉本興業の養成所NSCに入学し、芸人になったというのです。

とはいえすぐにそれで食べていけるはずもなく、小売店や家電量販店でアルバイトをしながら少しずつ仕事を増やしていき、ようやくなんとか人並みの生活ができるようになったのだそう。

芸人=フリーランスではありませんが、ぼくの仕事はフリーランスに近いと思います。

テレビや広告の出演依頼よりも、取材や執筆、講演のほうが多い。

みなさんと同じように報酬の振込が遅くて悩んだし、みなさんと同じように収入が安定せずに不安になったし、みなさんと同じように傲慢な取引先からハラスメントを受けています。(「はじめに」より)

そこで本書では、芸人になってからの「多くの失敗」と「ほんの少しの成功」を知識として集約しているわけです。

きょうは第4章「危ない取引先への対処法」のなかから、「Episode・6 こんな取引先はイヤだ 〜受発注編〜に焦点を当ててみたいと思います。

危険度がわかる取引先のことば

「弊社に来てください」(124ページより)

最初にこういわれたら要注意。仕事が決まったあとは柔軟に対応すべき。

「その商品ください」(124ページより)

サンプル以外の製品を要求された場合は、(いい方にもよるものの)警戒が必要。著者は打ち合わせに使うために持参した自分の本を「ください」と求められて渡してしまったため、アマゾンで買いなおした経験があるそうです。

でも、それはおかしな話で、「新品をアマゾンで買ってお送りしますよ」といえばよかったと後悔しているといいます。そうすれば取引先は、「じゃあ、自分で買います」といってくれたかもしれないと。

「取引する前に、うちの商品を買ってください」(125ページより)

お金を得るためにお金を払うなどナンセンス。下請法でも、親事業者が購入を強制することは禁止されています。

「あなたのためです」(125ページより)

もし担当者から「AとBの報酬制度を用意しました。Aは成功報酬のみ、Bは月額の報酬と成功報酬。好きなほうを選んでください」といわれたとしたら、当然のことながらBを選ぶのではないでしょうか? 著者も同じであるようです。

さんきゅう「Bでお願いします」

担当者「Aのほうがあなたのためですよ」

おそらく、利益が出るまでぼくに報酬を払いたくないのだと思います。(125〜126ページより)

「あなたのためです」は無責任なことば。「そのひとことで信用できなくなってしまった」という著者の気持ちも理解できます。(124ページより)

ツイッターでの依頼は要注意

著者への仕事の依頼が届くのは、所属している吉本興業か、著者の公式ホームページ。

それは当たり前の話でしょうが、まれにツイッターのダイレクトメッセージ(以下、DM)での依頼があるそう。

ただしそれが制約に至ったことはなく、それどころかDMでの依頼は警戒しているのだといいます。

一般的な会社の社員なら公式ホームページから依頼をしてくださいます。

ツイッターのプロフィールにもウィキペディアにもURLが載っているので、たどり着くのは容易です。

そうであるにもかかわらず、ツイッターで連絡してくる理由は、ラクだからだと思います。送られてくるDMには宛名もありません。あったとしても、本文は定型文。

たくさんの人に同じ内容を送っているとわかります。

つまり、ぼくに頼みたい仕事ではなく、誰でもいいからやってくれる人を探している仕事です。(127〜128ページより)

もちろん、なかには著者個人に宛てた依頼もあるようです。ただし、それらはホームページ経由の仕事とくらべると報酬が低い傾向にあるのだとか。そうした経験が、DMへの警戒心を強めているのでしょう。

届いたDMをいくつか紹介します。

「はじめまして! お仕事の相談をしたく、ご連絡しました」(中小企業コンサルタント)

「一緒に仕事をしませんか」(不動産会社)

「私の有料記事を告知してもらえませんか」(ウェブマーケター)

「新しくサービスを開始しました。登録は無料です。スキマ時間を使ってオンライン講演ができます」(企業と講演者のマッチングサービス)(128〜129ページより)

なるほど信用しづらいものばかり。だからこそ著者は、DMのなかにちゃんとした仕事の依頼があるかと問われれば、「ない」と断言できるのだといいます。(127ページより)

当然ながら、基本的にはフリーランスで働く方を対象とした方々のために書かれたもの。しかし、ここからもわかるように、組織で働いている方に役立ちそうなトピックスも含まれています。一度、手にとってみてはいかがでしょうか。

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2023年2月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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