弱小大名がどのようにして天下を取り、長期政権を築くことができたかという視点で、徳川家康の生涯を歴史学者が読み解いた。
織田信長にこき使われつつ何を学んだか。強敵の武田信玄と戦いながら、軍事力をどう進化させたか。現代の読者の参考になるよう、弱者としての家康の生存戦略を伝聞・伝承も交えつつ解き明かしていく。
家康は外部人材の武田家内通が発覚した経験から譜代の家臣を信用したとみて、現代日本の世襲と縁故採用、生え抜き重視、学閥との関係を考察するなど、一般的な歴史研究書にはない面白さがある。(文春新書・880円)

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2023年3月5日 掲載
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