『金子みすゞと詩の王国』
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【気になる!】文庫『金子みすゞと詩の王国』
[レビュアー] 産経新聞社
童謡詩人、金子みすゞが生まれて今年で120年。女性の地位が低かった生前は一冊の詩集も出版されず、死後半世紀を過ぎてから本格詩集が発行された。
本書は昨年放送されたNHK「100分de名著」の番組テキストに加筆したもの。番組で指南役を務めた著者が作品60編を解説。雑誌に自作を送る投稿詩人だった金子の短い生涯と、大正デモクラシーを背景にした童謡詩の誕生から衰退までをたどる。金子の詩の特徴の一つに「視点の逆転」があると指摘し、豊漁に沸く浜辺から一転、海中の鰮(いわし)の弔いを描く「大漁」を例に挙げている。(松本侑子著、文春文庫・880円)