『エルサレムの歴史と文化』
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【気になる!】新書『エルサレムの歴史と文化』浅野和生著
[レビュアー] 産経新聞社
ユダヤ教の「嘆きの壁」、キリスト教の「聖墳墓教会」、イスラム教の「岩のドーム」と、聖地が集まる古都エルサレム。西洋中世美術史家である著者が3宗教の聖跡を訪ね、起源を物語るエピソードや歴史をひもときながら案内する。
今に残る史跡が、必ずしも「本当にあったこと」に基づくわけではない。むしろ本書は、人々の信仰心がいかに聖地を作り上げたかを丁寧に追っていく。ダビンチの壁画でおなじみ、イエスが弟子らと「最後の晩餐(ばんさん)」をとったという部屋も人気の聖地という。美術もエルサレムの街と結び付けると、見え方が変わる。(中公新書・1100円)