『文学2023』
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『文学2023』日本文芸家協会編
[レビュアー] 産経新聞社
昨年出た主要文芸誌などの掲載作から選んだ12の中・短編小説を収めたアンソロジー。シングルマザーと10代の娘の現在と過去を通して「性」の問題を考えさせる西加奈子の「ママと戦う」、身の回りの不可思議な偶然の連鎖に戸惑いつつも戯れる大人たちを描く辻原登の「偶然の本質」…。収録作は題材もスタイルも多様で読み応えがある。
金原ひとみ編纂(へんさん)委員は解説で、「今と自分、世界と自分をさりげなくでも、強固にでも結びつけ、考える空間と力を与えてくれる」創作物の価値を説く。文学の現状を伝える一冊から世界の「今」が見えてくる。(講談社・4400円)