『大極殿の誕生』
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『大極殿の誕生』重見泰著
[レビュアー] 産経新聞社
大極殿(だいごくでん)とは、古代日本の宮城で政治や儀式・儀礼が行われた朝堂院(正庁)の巨大な正殿。それが必要とされた背景を解き明かす一冊だ。壬申の乱で専制的権力を掌握した天武天皇が、朝廷に参集する人々に対し天皇による支配を認識させる舞台装置として正殿を造営。藤原宮以降の大極殿につながったとの見方を示している。
律令の整備と都城の建設は当時の東アジアの国際標準。中国では正殿前方に参集者が列立する広い空間が設けられたが、藤原宮の大極殿で人々が列立することはなかった。天皇が直接接見しない在り方を反映した構造に独自性があるという。(吉川弘文館・1870円)