『知里幸惠 アイヌ神謡集』
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【気になる!】文庫『知里幸惠 アイヌ神謡集』 中川裕補訂
[レビュアー] 産経新聞社
アイヌ自身が初めてアイヌ語で書いて刊行した本。19歳で亡くなった知里幸惠(ちり・ゆきえ、1903~22年)が、口承されてきたユーカラ(詞曲)の中から13編をローマ字に起こし、美しい日本語訳を付けた。文字を持たないアイヌの言葉を後世に残そうとした知里の思いが、序文から伝わってくる。
神謡とは、アイヌ文学の分野の一つで、動物などの姿をした神(カムイ)が自らの体験を語る形式の物語のこと。本書の初版は大正12(1923)年で、昭和53年に岩波文庫から刊行。初版から100年の今年、新たな解説を付した補訂新版として刊行された。(岩波文庫・792円)