「がんばり方」を変えるだけ。発想の転換でムダな仕事が減り、自分の時間が増える!

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やることを8割減らすダンドリ術

『やることを8割減らすダンドリ術』

著者
飯田 剛弘 [著]
出版社
大和書房
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784479797920
発売日
2023/09/27
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「がんばり方」を変えるだけ。発想の転換でムダな仕事が減り、自分の時間が増える!

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

がんばっているのに、なかなか作業が思うように進まないとか、やることがたまって途方に暮れてしまうとか。

あるいは、先延ばしするクセがついてしまって、自分の時間がほとんどとれない、などなど。仕事の段取りについて、そんな悩みをお持ちの方は少なくないはず。

やることを8割減らすダンドリ術』(飯田剛弘 著、大和書房)の著者もかつては同じ状況にいたようですが、あるとき自分の「がんばり方」を見なおしてみたところ、「すべてひとりで完璧にやろうと、なんでもかんでもがんばらない」という思いに至り、そこから時間の使い方を改善できたのだそうです。

もちろん、「効果が高い仕事に集中する」ことと、「クリティカル(きわめて重要なこと)かどうかで判断し、やらないことを増やす」ことは重要なポイント。しかし同時に、「がんばらない」という選択をすることも大切だというのです。

通常、僕たちが「がんばる」って考えたとき、「あれもやらないといけない」「これもやらないといけな」と考え、かえってやることを増やそうとしてしまいがちです。

ただ、それらの作業は、相手が納得する成果を出すために、絶対に必要な活動とは限りません。つまり、「本来なら、あなたがやらなくてもいい仕事」を、自分で増やしている可能性があるのです。(「Prologue」より)

だとすれば、「がんばらない」を選ぶことで、「不必要な仕事の増加」を止めることができるはず。そんな些細な発想の転換によって、自分の時間を奪う要因を減らすことができるというわけです。

重要なポイントは、「8割減らす」という考え方。すべてを完璧に、自分だけでこなそうとするのではなく、「8割減らして、残り2割に集中する」を目指そうということです。

Chapter 1「『8割のムダ』を減らす考え方」の中から、いくつかのポイントを抜き出してみましょう。

「これくらいやらなければ」という前提を疑う

研修やセミナーなどを通じて多くのビジネスパーソンと接してきたという著者は、「ダンドリが苦手だとおっしゃる人ほど、完璧主義の方が多い」と感じているのだそうです。しかも、そういう方ほど「ダンドリがうまくできない」と感じ、自分に自信がなさそうだったりするもの。

そこで、そんな方にはお伝えしたいことがあるのだとか。

もしダンドリがうまくいかなかったとしても、もし予定通りに進められなかったとしても、決して自分の能力がないからだ、なんて思わないでください。

ダンドリが難しいと感じるのは、あなたの弱点なんかではありません。ただ、今の行動や考え方に改善できる点、つまり伸びしろがあるだけなのです。(25〜26ページより)

たとえば、本来であれば自分がやらなくてもいいことなのに、ついがんばってやってしまう。あるいは、相手がそこまで求めていないにもかかわらず、「ここまではやらなければいけない」と思い込んでしまう。まずは、そうした思い込みを排除することが重要だというわけです。(24ページより)

完璧主義の意外な落とし穴

著者によれば、心配性の方や、経験が浅くまだ自信のない方にはひとつの傾向があるそうです。それは、本来自分がやる必要のない仕事を増やしたり、その結果、やるべきことが増えてしまったりするということ。また、先回りをしたり、考えすぎたりした結果、自分からやることを増やしているようなケースもあるといいます。

その結果、自分で自分を追い詰めてしまっているわけです。もちろん完璧を求めること自体が悪いわけではありませんが、問題なのは、自分で無意識のうちに「やるべきこと」を増やしてしまい(つまり、「やらなければいけない」と思い込んで)、他の重要な仕事に支障が出るような状況をつくってしまうこと。

その完璧主義が自分自身を苦しめていたり、他の大切な仕事に影響を与えていることがあるとしたら、少し立ち止まって、自分の時間の使い方やダンドリの仕方を、ちょっと見直してみてはいかがでしょうか。(28ページより)

多忙な日常に追い立てられていると、こうした大切なことを忘れてしまいがち。だからこそ、著者のいうように「少し立ち止まる」時間を持つべきかもしれません。(27ページより)

「価値の低い仕事」でエネルギーを消耗してはいけない

前述したとおり、著者はその仕事が「クリティカル」であるかどうかに重きを置いています。「クリティカルでなければ、とにかくやらない」、つまり「絶対に必要でないのなら、とにかくやらない」という考え方が重要なのだと。

ダンドリ上手な人は進め方がうまいだけではなく、自分が「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」を見分けるのがうまいもの。自分のやりたいことや、やるべきことには全力を注ぐけれども、それ以外のことには気を使わないわけです。

だからこそ著者は、やらなければならないことを増やさないためにも、「やらないと深刻な問題になることや、あとから修正するのが難しいこと」だけに集中することを勧めているわけです。いわば、それこそが「8割やらない」ことの本質。

なお、「なぜ8割か?」は著者の経験に根ざしたもの。しかし同時に、きちんとした根拠もあるのだそうです。それは、「80対20のルール」とも呼ばれる「パレートの法則」。

これは、全体の成果の80%が、全体の努力の20%から生まれるという考え方のことです。つまり、効果的な20%のタスクに集中すれば、効率よく全体の成果を出すことができるということです。(39ページより)

重要なのは、つねに「使った時間に見合うだけの効果があったのだろうか?」「かけたお金に見合う効果があったのだろうか?」というように、「なにをやると、より高い効果があるのか」を考えてみること。そのうえで、効果が高いと思われることに集中すべきであるわけです。

すると「あれもこれもやらなければ」という思いが「これだけはしっかりやろう」というスタンスへと変化していき、仕事に欠ける全体の時間も凝縮できるというのです。(38ページより)

「減らす」ことと「サボる」ことは、本質的に意味が異なるもの。限られた時間のなかで効果が高い仕事に集中し、よりよいパフォーマンスを引き出すためには必要な考え方だということ。仕事の効率化を実現したいのなら、参考にしてみる価値はありそうです。

Source: 大和書房

メディアジーン lifehacker
2023年10月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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