全国で噴火や津波の被災地を取材してきた編集者だが、東日本大震災では自らが被災者となった。被災地で本を編みながら、新聞や雑誌などに執筆してきた原稿を時系列にまとめた。当事者ならではの視点と言葉に何度もハッとさせられる。たとえば地元の未来について語るこんな独白。〈知らなければならない。考えなければならない。だが、底なしに続く《復興》の長丁場を思えば、しんどくもなる〉。あるいは「震災文学」についてのこんな一節。〈被災地を生きる作家たちの作品の場合、あの日からの確かな記憶は語られぬ行間にこそある〉(河出書房新社・1600円+税)
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2016年3月13日 掲載
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