「報ステ」「クロ現」…相次ぐキャスターの降板 安倍政権のメディアコントロール

レビュー

2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

安倍官邸とテレビ

『安倍官邸とテレビ』

著者
砂川 浩慶 [著]
出版社
集英社
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784087208306
発売日
2016/04/15
価格
778円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「報ステ」「クロ現」…相次ぐキャスターの降板 安倍政権のメディアコントロール

[レビュアー] 碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)

 今年3月、報道番組の看板キャスターが相次いで降板した。NHK「クローズアップ現代」国谷裕子さん、TBS「NEWS23」岸井成格さん、そしてテレビ朝日「報道ステーション」の古舘伊知郎さんである。

 それぞれ政治的なテーマについても言うべきことは言う、そんな気概を持つ人たちだった。何か圧力があったわけではないと報じられたが、“3人同時降板”は尋常なことではない。

 立教大教授である著者は、ここに至るまでの安倍政権とテレビの関係を徹底検証していく。狡猾ともいえるメディアコントロールの手法、揺さぶりと介入の具体的な動き、さらにテレビ自身が抱える問題点や危うさにも迫っている。

 思えば、安倍首相のテレビに対する警戒心と支配欲は昨日今日のものではない。15年前に起きた、「戦時性暴力」をテーマとしたNHK教育テレビの番組改変問題にも直接かかわっている。第1次安倍政権ではテレビ局への「行政指導」を乱発したが、現在はより直接的、より露骨なメディアコントロールが行われている。

 選挙報道に対する「お願い」という形の恫喝。個別番組の件でテレビ局の経営幹部を呼びつける。加えて、前代未聞の総務大臣「電波停止」発言である。こうした状況は報道現場の萎縮や自己規制を生むが、政権の狙いもそこにある。

 報道内容の是非を判断するのは視聴者だ。本書は貴重な判断材料となる。

新潮社 週刊新潮
2016年6月2日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加