久米・壇蜜も驚き「出版業って賭けですね」あらすじだけで翻訳権を買った出版社

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 久米宏さん(71)が書店店長、壇蜜さん(35)が書店員となり、毎回話題の本を取り上げるBS日テレの番組「久米書店」(5月8日放送回)に文芸翻訳者の越前敏弥さんが出演。越前さんの近著『翻訳百景』(KADOKAWA)をとりあげ、知られざる翻訳の舞台裏や、ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』(角川書店)翻訳の裏話がたっぷりと語られた。

■翻訳家三つの条件

 番組冒頭久米さんは、仕事で同時通訳者と関わりがあり、優秀な通訳は日本語が堪能でなければいけないと持論を述べた。それに対し越前さんは「翻訳家もそうです」と同意。そして翻訳家の条件として、①日本語が好き ②調べ物が好き ③本が好き の三つをあげた。

■『ダ・ヴィンチ・コード』翻訳裏話

 越前さんの前職は塾の講師。1日15時間働いていた32歳の頃、くも膜下出血で倒れた。そして病床でその歳から始められる仕事を考え、翻訳の道を志したという。翻訳家となった越前さんはダン・ブラウンの『天使と悪魔』(角川書店)に出会うこととなる。その当時ダン・ブラウンはまだ無名の作家。『天使と悪魔』もあまり売れておらず、『ダ・ヴィンチ・コード』はあらすじだけの状態で日本の出版社は翻訳権を契約したという。海のものとも山のものともつかない『ダ・ヴィンチ・コード』の版権料はそれほどたかくなかったらしいと越前さんは明かした。壇蜜さんは「それだけの情報で……」と、久米さんは「出版業って賭けですよね。これは株ですね一種の」と感心していた。

■小難しいものは越前に

『天使と悪魔』は一見“小難しく”前半が理系の話、後半が宗教や歴史の話題になっている。その当時越前さんの周りでは、越前さんが過去に塾で全ての教科を教えていたが故に、「小難しいものが来たら越前にまわせ」という空気が出来上がっていたという。そして『天使と悪魔』を訳している最中、『ダ・ヴィンチ・コード』は米国で大ベストセラーになっていた。『ダ・ヴィンチ・コード』の売れ行きは凄まじく、越前さんが『ダ・ヴィンチ・コード』を訳し終わってもまだ米国でベストセラー1位のままだった。

■翻訳ノウハウ

 番組では他にも「作者が日本語を知っていたらどう書くかが目標」や「英語でワンセンテンスのものは日本語でもワンセンテンスで訳す」、「日本語の語彙を増やすには翻訳するしかない」など翻訳にまつわる貴重なノウハウが公開された。さらに越前さんがくも膜下出血で倒れた際、ゲーム「マリオカート」をやっていたことや、壇蜜さんの映画を全て見ていることなど、越前さんの素顔も明かされた。また越前さんも参加して行われている「読書会」が全国各地で盛況だと報じられた。

 著者自らが本を売り込む「蜜読」のコーナーには、マミフラワーデザインスクール校長の川崎景介さんが登場し、『花と人のダンス』(講談社エディトリアル)を壇蜜さんに薦めた。

久米書店 ヨクわかる!話題の一冊」はBS日テレにて毎週日曜18:00から放送中。

Book Bang編集部
2016年5月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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